国土交通省がチルトローテータによる施工時の燃料消費量を通常の建機と比較検証したところ、40・6%の削減効果を確認できた。都市部の小規模土工を想定したもの。チルトローテータの導入による生産性の向上が、CO2排出量削減にも有効なことが明らかになった。国交省は建機施工の脱炭素化に取り組んでおり、今後の施策展開の参考とする。
検証は、都市部に多い管路設置の床掘施工を想定して行った。深さ1・2bの集水桝と約10bの埋設配管の設置作業を模し、幅5b以内と制限された作業エリアでの施工を念頭に、0・1立方bクラスのミニショベルで施工した。
その結果、従来施工では13・46gの燃料を消費したのに対し、チルトローテータの施工では8・00gとなり、燃料消費を40・6%削減できた。
チルトローテータは、バケットの先端部を回転させたり、傾けたりすることができる建機。掘削面に対して正対しなくても細部まで刃先が届くため、正対するための細かな建機の位置調整、移動を減らしたことが燃料消費の削減につながったと見られる。
実際に建機の稼働状況を比較しても、従来施工は256分を要したのに対し、チルトローテータは132分で済み、稼働時間が48・4%減少していた。特に、集水桝の掘削に要する時間が約3分の1に減少した他、待機時間をほぼ解消することができた。
国交省はチルトローテータを省人化建機の認定対象とするなど、少ない人工で効率的な施工を可能とする省人化の観点から活用を推進してきた。今回、生産性の向上が燃料消費の削減にも有効だと示されたことで、チルトローテータの活用にさらに弾みがつきそうだ。
ただ、通常施工と大きな差がついたのは、狭小な場所での小規模土工だった要因が大きい。チルトローテータによる施工の脱炭素化を推進するには、適した現場の選択が重要になる。
提供:建通新聞社