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2025/06/02

建退共の複数掛金 8割超が利用の意向

 勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部が全国の共済契約者(元請け、下請けなど)にアンケート調査を行ったところ、建退共の掛金を上乗せできる複数掛金制度について、回答した元請け・下請けのそれぞれ80%以上が「利用したい」「将来的に利用を検討する」などと考えていることが分かった。建退共事業本部が目指す1000万円以上の退職金が望ましいとの回答は26・9%あった。
 現在、建退共の掛金は日額320円と単一で、掛金を37年間納付しても、退職金額は400万円に満たず、他産業の退職金額との差が大きい。建退共事業本部は、技能者が定年時に受け取る退職金額を引き上げるため、掛金の上乗せを選択できる複数掛金の導入を目指し、4月に関係団体や有識者を集めた検討会議を立ち上げた。
 建退共事業本部は、この複数掛金導入に向けて全国の共済契約者にアンケート調査を実施。有効回答数は、元請け315件、下請け266件、任意組合26件の合計607件だった。5月29日に開いた検討会議に調査結果を報告した。
 調査結果によると、現在の建退共の退職金額を不十分だと感じている回答者は56・2%と半数を超えた。退職金額を上乗せできる複数掛金の利用意向としては、元請けの82・2%が利用したい、将来的に利用を検討すると回答。同じ設問に対し、下請けは90・2%が利用の意向を示したものの、このうち44・0%は元請けの費用負担を条件に利用の意向を示している。
 自社の従業員の掛金負担に対する元請けの回答は、退職金額が約560万円となる「日額400円程度」が39・0%と最多。退職金額が1000万円を超える「800円程度」「1000円程度」「1000円超」との回答は合計でも5・0%だった。
 一方、下請けの従業員に対する掛金負担は、現行のままの「日額320円」との回答が55・6%と半数以上を占めた。
 建退共事業本部は、建設キャリアアップシステムの能力評価のレベルに応じ、掛金を4段階で上乗せすることを想定している。これに対し、上乗せを選択する際の指標を「技能(経験、実績)」との回答が71・1%、「勤続年数」が66・0%、「資格」が46・0%だった(複数回答)。上乗せの段階としては、2段階までを利用する意向が、元請け63・7%、下請け52・0%と最多だった。
 建退共事業本部の検討会議は、6月中に中間報告、今秋に最終報告をまとめ、複数掛金の導入についての考え方を示す。複数掛金の導入には、建退共制度の根拠法である中小企業退職金共済法の改正が必要になる。

提供:建通新聞社