政府がきょう6月6日にも閣議決定する「第1次国土強靱化実施中期計画案」には、地方自治体や関係団体から4030件に上る意見が提出された。自治体・団体から意見が多かったのは、2026年度からの5年間で「おおむね20兆円強」とされた計画の事業規模に対するもの。計画の事業規模には、国費に加え、自治体が負担する財源も含まれており、事業費を通常予算と別枠で確保するように求める声が強い。
実施中期計画案は、すでに自民党の国土強靱化推進本部と有識者会議で了承されており、きょう6日にも閣議決定する。計画案では、5年間の事業規模を「おおむね20兆円強」としており、この事業規模を最低ラインとし、毎年度の予算編成過程でさらに事業規模を積み上げられるようにする。
国土強靱化基本法では、都道府県・市区町村の意見を聞いた上で実施中期計画を作成することを求めており、政府が2月にまとめた計画の策定方針に対し、47都道府県、437市区町村、20団体から合計4030件の意見が提出された。
多くの自治体・関係団体からは、国土強靱化のペースを落とすことがないよう、国土強靱化に特化した別枠の予算・財源の確保を要請。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、インフラの老朽化対策の強化に大幅な事業規模の積み上げを求める声もあった。
また、資材価格・人件費高騰の影響により、「国土強靱化対策のペースが落ちること」を不安視し、事業規模の拡大を求める意見も多い。「現行計画の1・5倍(22・5兆円)」「25兆円」「20〜30兆円」など、具体的な金額を示して事業規模の拡大を求める意見もあった。
一方、4月にまとまった計画の素案に対するパブリックコメントに寄せられた意見を見ると、高齢化や担い手不足が進む建設業に対し、「国土強靱化を進める上で、地元建設業の活用について盛り込むべき」「地域において技術者が安定的に定着・活躍できる環境整備も、国土強靱化の持続的基盤として明示すべき」といった声も上がっている。
提供:建通新聞社