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2025/06/11

消費税「上乗せ」大幅増 一人親方のインボイス対応

 全国建設労働組合総連合(全建総連)の2025年1〜3月調査で、インボイス発行事業者に転換した一人親方の84・0%が取引先から消費税分を上乗せした支払いを受け取っていることが分かった。制度開始直後の23年12月調査と比べると、消費税の上乗せ払いを受けている一人親方が49・1ポイントと大幅に増えた。
 インボイス制度の開始後、免税事業者からインボイス発行事業者へと転換した一人親方は、回答者全体の47・7%と半数近くを占めた。これらの一人親方は、新たに消費税を納めることが求められるため、元請けや上位下請けなどの取引先に転嫁できなければ、実質的に利益が大きく削られてしまう。前回調査ではインボイス事業者に転換しても、取引先が単価を据え置いたとの回答が65・2%を占めていた。
 今回調査では、「話し合いをした結果、消費税分が上乗せされている」が32・9%、「話し合いをしていないが、消費税分が上乗せされている」が51・1%となり、取引先が一定程度、消費税分の上乗せに理解を示している実態が分かった。
 一方、インボイス制度の導入後も免税事業者として働く一人親方の場合、取引先が消費税分を負担する必要がある。こうした一人親方のうち、取引先からの受注価格が「減った」と回答した割合は15・7%となった。大半は「変わらない」だったものの、一部で消費税分の負担のしわ寄せが一人親方に向かった可能性がある。
 受注価格が「減った」と回答した一人親方のうち、取引先と話し合いが「できた」のは49・5%、「できなかった」のは50・5%だった。受注価格の減少幅は、「消費税10%相当額」が54・0%と大半を占め、「消費税2%相当額」が38・6%、「消費税10%以上」が7・4%となった。
 免税事業者の一人親方にインボイス導入後の仕事量について聞くと、「減った」が24・5%となった。「変わらない」が72・6%で最も多く、「増えた」も2・9%あった。
 免税事業者からインボイス発行事業者に転換した一人親方と、インボイス導入後も免税事業者として働いている一人親方6081人を対象に聞いた。主な就労先は町場や工務店などの現場。
 全建総連の過去のアンケートでは、収入の減少や書類負担の増加に対する懸念から、特に70歳以上と高齢の一人親方の2割が離職を検討しているとの声も上がっていた。

提供:建通新聞社