国土交通省は、地籍調査に意欲的に取り組む地方自治体や、先進的な手法を取り入れた測量業者に対する表彰制度を創設することを決めた。地籍調査の全国の進捗率は53%(2023年度末時点、面積ベース)にとどまっているが、都道府県・市区町村の姿勢によって進捗に大きな差がある。自治体や測量業者の先進的な取り組みを表彰し、地籍調査に積極的に取り組む全国的な機運を高める。
地籍調査では、一筆ごとの境界を測量して作図し、土地の形状や位置を正確に登記する。災害発生後の復旧・復興を迅速化、社会資本整備の効率化、民間都市開発の推進などの効果がある。すでに調査を完了している市区町村が34%ある一方、未着手・休止中の市区町村が全体の2割弱あるなど、地域によって進捗に大きな差がある。
都道府県の支援により、急速に進捗率を伸ばしている地域もある。和歌山県では、市町村が県道整備を要望する際、事業費の縮減や早期着工・完了につながる地籍調査の先行実施を求めている。県内の地籍調査は全国平均の6倍のスピードで進捗している。津市は、市長が自ら地籍調査の重要性を市民にアピールし、調査を加速させている。
こうした先進的な自治体の取り組みに加え、新技術を活用して調査の効率化を図っている事業者(測量業者、土地家屋調査士、社団法人など)を表彰し、地籍調査の重要性を全国に展開する。
9月から受賞者を募集し、年内に有識者らでつくる審査委員会で大賞・部門賞・優秀賞をそれぞれ決定する。国交省が2026年1月28日〜30日に開催する「G空間EXPO2026」で受賞した自治体・事業者を表彰する予定だ。
提供:建通新聞社