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中央ニュース

2025/06/16

建設企業のバックオフィス業務 元下一体のデジタル化支援

 建設業振興基金は、建設企業のバックオフィス業務のデジタル化を促進するため、複数の元請けと協力会社が連携して全体で生産性を高める取り組みを支援する。施工管理や契約・請求といったデジタルサービス間に互換性を持たせ、事務的な非効率を解消する。今秋にも支援先の企業グループの募集を開始し、モデル的な事例の構築、横展開につなげる。特に遅れが見られる中小建設企業のデジタル対応を後押しする。
 元請け・専門工事会社を含む有識者と基金で2024年に立ち上げた勉強会の結果を踏まえ、実施を決めた。現場内の施工管理に伴う事務作業だけでなく、▽本支店での現場管理支援▽調達部門と下請けとの取引▽道路占用許可などの行政とのやりとり▽金融機関との資金繰り―を含む幅広い業務を想定。根強く残る紙書類中心の業務を転換し、DX化を目指す。
 勉強会では、建設分野の事務作業の課題として、重層下請け構造の中で見積書、契約書、請求書など多数の書面がやりとりされ、個社の努力のみでデジタル化が困難だと総括した。
 建設企業の事務作業で用いられているDXサービスの現状も分析。施工管理や契約・請求、労務管理などで多種多様なサービスが導入されているものの、互換性に乏しい場合も少なくないという。
 一方、下請けは複数の元請けと取引するのが一般的なため、元請けごとに異なるサービスを導入する必要がある。複数の元請け、下請けが相互に取引する「多対多構造」にある中で、個社のデジタル化によって効率が低下する恐れも指摘した。
 基金は勉強会を通じて、建設企業の大半を占める中小を対象とした支援方策を検討。施工管理に要する情報共有のデジタル化、CI−NETの活用を含めた書類のデジタル化、電子記録債権の活用などに対し、資金・人材の両面で支援を行うことに決めた。
 複数の元請け・下請けが相互に取引している現状を踏まえ、個社に対する支援ではなく、複数の元請け・協力企業で構成するグループを支援する。DXに前向きなグループに対して情報共有ソフトの導入、デジタル教育の実施などを支援することを検討している。
 基金が運営する建設業に特化した電子商取引の「CI−NET」の普及にも取り組む。デジタルインボイスの標準仕様を介した他の電子取引システムとのデータ交換の実証実験を予定。公共発注者に対しては、CI−NET導入企業に対し、総合評価落札方式や工事成績評定での加点、出来高請求でのCI−NET活用に対する追加評価などを要請する。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録された技能者データと外部サービスとの連携も推進。元請けごとに異なる労務安全システムなどに対し、下請けがCCUSを活用することで、情報入力の手間を軽減することなどが考えられる。

提供:建通新聞社