国土交通省は6月16日、2026年度を開始年度とする次期無電柱化推進計画の策定に向けた有識者検討会を開き、緊急輸送道路の無電柱化の加速を課題として提示した。現行計画でも緊急輸送道路を中心に無電柱化を進めているものの、無電柱化された区間は全体延長の4割に満たない。
能登半島地震では、約3100本の電柱が倒壊し、道路閉塞(へいそく)を招いた。電柱を撤去するには、電線管理者による感電防止措置や電線の切断などの作業が必要となり、これらの作業待ちが発生すると、復旧活動を行う車両が通行できなくなる。
一方で、現在の緊急輸送道路の無電柱化の進捗を見ると、対象区間の全体延長10万6311`のうちの61%(6万4239`)に電柱が残っている。こうした状況を踏まえ、次期計画でも緊急輸送道路での無電柱化の加速が必要になるとしている。
また、無電柱化の推進に当たっては、地中化工事の完了後の電柱撤去に長期間を要することも課題となっている。無電柱化は、道路管理者が電力ケーブルを納める管路を整備した後に、電線管理者が電柱撤去を進めるが、この際の関係者調整や合意形成が難航するという。
地中化工事が完了したものの、未撤去の電柱は全国に約5800本ある。このうち、整備完了後、4年以上経過するものは半数に近い約2800本あり、早期の電柱撤去に向けた取り組みが求められる。
この他、整備目標の設定も課題とされた。現行計画は、工事着手延長を目標に設定しているため、工事完了よりも着手に重点が置かれる傾向がある。この結果、予算や人員が分散して整備進捗が遅れているという。
国交省は、次期計画となる「第9期無電柱化推進計画」を26年度初頭にまとめる。
提供:建通新聞社