建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録技能者向けスマートフォンアプリ「建キャリ」が、技能者の保有資格の確認に使えるようになった。対象は、労働安全衛生法に基づく特別教育や登録基幹技能者など。サービスを運営する建設業振興基金は、こうした取り組みを通じてCCUSのメリットを実感してもらい、活用促進につなげたい考えだ。
CCUS処遇改善協議会で、国土交通省がCCUSの利用拡大に向けた取り組み事例として報告した。建キャリは、CCUSの技能者IDを登録することで、登録職種やレベル、蓄積した就業履歴などを確認できるようにするアプリとして2024年11月にサービスを開始した。CCUSに登録した資格情報をスマートフォンの画面に表示する機能も設けている。
ベテランの技能者は複数の資格者証を携行し、資格の確認を求められた際に提示する必要がある。国交省は、労働安全衛生法に基づく特別教育や職長教育、安全衛生責任者教育、登録基幹技能者について、建キャリで画面表示すれば資格者証による掲示と同等に取り扱えることを関係機関に確認し、明確化した。
今回、建キャリによる簡易な確認を利用できるようになった資格は、CCUS登録技能者の中で保有率が特に高いものとなっている。これにより技能者は資格者証の携行が不要となるが、原本は保管しておく必要がある。
国交省は今後、労働安全衛生法に規定する免許など、法令上の携行義務が課されている資格についても建キャリの画面表示で代替できるよう、調整・協議を進める。
CCUSの利便性向上に向けた取り組みではこの他、登録している技能者の氏名や資格情報、社会保険の加入状況といった情報を民間の労務安全システムなどと共有できるようにすることを検討する。元請けごとに異なる労務安全システムなどを採用していると、下請けはそれぞれに技能者の情報を登録する必要があり、手間となっていた。CCUSから民間の各システムに情報を共有できるようにし、下請けのデータ入力などの事務負担を軽減する。
現在、CCUSの登録情報を利用できるよう、複数のベンダーがシステム改修を実施。早ければ25年度内に、CCUSの連携情報を活用したサービスの提供が始まる見通しだ。
公共工事でCCUSの活用促進に向けた取り組みが進展していることも報告した。CCUS就業履歴の蓄積状況に応じた工事成績評定での加点評価を徳島県、宮崎県が実施しているという。入札段階で就業履歴の蓄積を宣言した企業への加点評価を行う広島県、滋賀県の例もあり、国交省は水平展開を促していく。
提供:建通新聞社