能登半島地震による建築物の被害原因分析を行う国土交通省の有識者委員会は12月23日、委員会の最終報告をまとめた。基礎杭の損傷による建築物の転倒という国内初の被災事例に関しては、容易に支持性能が失われる杭や地震時に傾斜が生じやすい構造など、複数の要因が重なった結果と整理。「極めてまれな事例」としつつも、転倒する可能性のある建物に関する安全性の確保が必要とした。
能登半島地震では、杭の損傷によって鉄筋コンクリート造7階建てのビルが転倒した。この状況を分析した結果、▽耐震設計がされていない杭で支持された基礎▽上部構造が地震時に片側に傾きやすい構造▽軟弱地盤−の複数の要因が重なることで転倒の可能性が高まると整理した。
ただ、建築物が転倒するかどうかを構造計算で確認することは困難とされており、判断基準の明確化には技術的課題が残るとまとめた。
木造建築物の被害に関する状況も分析した。新耐震基準で、接合部の仕様などが明確化された2000年以降の建物については、高い倒壊・崩壊の防止効果が確認できた。住宅性能表示制度の耐震等級2・3の取得や長期優良住宅制度の認定など、現行基準よりも高い耐震性能を持つ建物に関しては、ほぼ被害がない状況だった。
こうした実態を踏まえ、国交省は旧耐震基準の建物の耐震化を促進するとともに、住宅性能表示制度などの活用を推進するとした。
提供:建通新聞社