国土交通省は、インフラ維持管理の担い手を中長期的に確保・育成するための方策を検討する。このため直轄維持修繕工事を受注している元請けと下請けの関係や、技術者・技能者の働き方の実態把握に乗り出す。他の工事と比べて利益が出にくく、働き方の制約が大きいといった課題を踏まえ、持続的に維持管理が可能な体制を考える。
直轄の維持工事(通年)の入札不調・不落の発生率は2・8%で一般土木の2・4%と大きく変わらないものの、1社応札の占める割合は60・1%と一般土木の13・9%を大きく上回る。将来的にさらに担い手不足が深刻化することに備え、中長期的な対策の検討を建設生産・管理システムに関する有識者懇談会の維持管理部会で打ち出した。
新技術の活用による作業の自動化・省人化を踏まえて仕事の仕方がどのように変わるか、ノウハウをいかに継承するかが論点に挙がった。働き方改革や「労務費の基準」による技能者賃金の確保など、建設業全体で進む処遇改善の取り組みを踏まえ、特に維持管理で求められる対応策も検討する。これまで試行してきた多様な入札契約制度の結果を担い手確保に生かす方策も考える。
直轄の維持修繕工事では、受注企業の元請け・下請けとの関係性や、技術者・技能者の労働時間と賃金に関する実態調査を行い、今後の議論の参考とする。
委員の小澤一雅政策研究大学院大工教授は、「維持管理の担い手確保は改築事業よりも厳しい状況にある」と指摘。新技術の現場導入を念頭に「どういう人たちがインフラを守るのかきちんと考え、中長期のメッセージを出す必要がある」と述べた。
技術者・技能者の働き方を問題視する意見も多かった。特に豪雪地帯の除雪は作業時間が深夜・早朝となるなど、特有の労働環境の厳しさがあるとし、実態把握を求める声が委員から寄せられた。
また、除雪工事で機械費などの固定的経費を別途計上する積算手法が試行されていることを受け、他の維持修繕工事でも持続的な受注体制維持の参考になるとの意見が出た。
1社応札が多いことについては、入札時の実績要件がハードルになっている現状に触れ、参加要件の見直しを促す声もあった。
提供:建通新聞社