国土交通省が3月19日に建設業4団体と開いた技能者賃金に関する意見交換会で、団体側からはサプライチェーン全体で労務費を価格転嫁する必要性を指摘する意見が相次いだ。日本建設業連合会をはじめ、元請け団体は公共・民間発注者に、建設産業専門団体連合会は発注者に加えて元請けの現場所長に改正建設業法に基づく労務費の基準を浸透させる必要性を指摘。金子恭之国交相は「賃上げに向けた環境づくりを責任を持って前に進める」と応じた。
意見交換で申し合わせた、技能者賃金の「おおむね6%の上昇」を実現するには、賃金の原資である労務費を請負契約の中で確保する必要がある。
日建連の宮本洋一会長は国交省に対し、「特にサプライチェーンの出発点である民間を含めた発注者に対し、理解を得られるよう強力な指導をお願いしたい」と要望した。建設プロジェクトの価格転嫁を巡っては、不動産協会と意見交換の場の設置を調整していることも説明した。
全国建設業協会の今井雅則会長は、資材価格の高騰や人件費上昇により、「実質的な工事の発注量が減少している」と訴えた。労務費については「元請けが身を切って価格を転嫁している」とし、特に公共工事については賃金の原資を圧迫しないよう、予定価格や入札制度の見直しを求めた。
全国中小建設業協会の河ア茂会長は、会員企業の現状について「貴重な人材流出を防ぎ、企業を存続させるための賃上げを行っている」と説明。企業努力だけでは限界があるとし、公共工事について「予定価格に限りなく近い金額で受注できるような入札環境の整備」が必要だとした。
建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は、改正法に基づく標準労務費について「発注者や現場所長に重要性が伝わっておらず、温度差がある」と指摘。仕事量の少ない地域では自主的なダンピングも見られるとし、建設Gメンによる監視と商慣行の転換に期待感を示した。
金子国交相は、ダンピング対策を通じ、企業が持続可能な利益を得られる環境を整備する必要があるとした。改正建設業法の全面施行や、国土強靱化対策が高市内閣の重要施策に位置付けられたことを踏まえ、「建設業は今、大きな転換点を迎えている」と発言。「若者にも魅力的な新しい時代の建設業を皆さまと一緒に作り上げていく」と述べた。
提供:建通新聞社