建設経済研究所(RICE)は、建設技能者の転職や現場間の労働力移動に関する調査結果をまとめた。閑散期に同業他社の現場に従事する技能者が3〜6割いることを確認し、違法な”応援”も一定数含まれると推定。労働力の需給調整は「月給制への移行や雇用安定化に必要不可欠」とし、流動的な働き方を適正に行える仕組み・制度の整備が処遇改善に有効だとした。
RICEは、建設キャリアアップシステム(CCUS)ユーザー向けアプリ「建キャリ」や、技能者マッチングアプリ「助太刀」に登録している技能者にアンケートを実施。業務の繁閑差について聞くと、「閑散期が多い」が5〜6%、「繁忙・閑散の両方偏る」が32%だった。これらの回答者に閑散期の対応を聞くと、「同業他社に従事する」との回答が正社員の多い建キャリで37%、個人事業主の多い助太刀で57%を占めた。
技能者ヒアリングでは、応援先に下請けとして入るものの、請負契約をせずに常用単価で人工精算するなど、違法な応援が行われている実態が聞かれた。応援が、繁閑差だけでなく工程上のすき間の労働力調整として機能している事例もあった。
建設技能者の有料職業紹介や労働者派遣が禁止される中、多様な労働力の需給調整の仕組みについても調べた。例外的に技能者の送り出しを認める建設業務労働者就業機会確保事業で、許可を得た4団体のうち、実績を確認できたのは日本海上起重技術協会のみだった。海上土木工事は年単位で港湾ごとの事業量が異なるため、一定のニーズがあったという。
能力開発などとして関係会社内で行う在籍型出向についても調査。事前に繁閑差を想定できるときに制度が活用されている一方、頻繁な労働力の需給調整には事務負担が大きいことが分かった
CCUSに蓄積された就業履歴データからは、トンネル特殊工・作業員が短期間に転職を繰り替えし、全国の現場に従事していることが示唆された。
RICEは、応援を含めた需給調整が企業の労働力・業務量を平準化し、月給制への移行や雇用安定につながると分析。「流動的な働き方が正々堂々と行える仕組みや制度」を整えることで、処遇が改善するとした。
派遣事業の解禁や就業機会確保事業の緩和を求める業界の声にも触れた。雇用の流動化には、就業履歴の蓄積や能力評価が可能なCCUSの活用が有効だとも主張した。
提供:建通新聞社