国土交通省の建設Gメンが、2025年度の活動結果を公表する一環で、初めて具体的な行政指導の事例を示した。設備工事業者が自社の体制を考慮せず、同時に複数の発注者から設備工事を請け負った結果、技能者が違法な長時間労働となった事例を取り上げた。受注者が自ら基準に満たない短工期を設定する、いわゆる「工期ダンピング」に該当することを指摘した。
25年末に全面施行した改正建設業法では、「工期の基準」に満たない著しく短い工期の設定を、発注者だけでなく受注者に対しても禁止した。受注者が自ら極端な短工期を設定し、実質的に労務費など適正な施工に必要な経費をダンピングすることを防ぐ狙いがある。
指摘を受けた事例では、設備工事業者が複数の民間発注者から店舗施設の設備工事を同時に受注した。各工事の作業人員が不足している中、一人あたりの作業量が長時間労働を前提としたものになっていた。
建設Gメンは、工事を個別に見れば一般的な工期を設定していたとしても、自社の人繰りを考慮せず、結果的に長時間労働となるような工期を設定すれば、法違反の著しく短い工期に該当する恐れがあると指摘。情報提供を受けた近畿地方整備局が設備工事業者に対し、工期の基準を踏まえて適切な工期を設定するよう指導した。
国交省は今後も、工期設定に限らず建設工事の請負契約に関連した指導について、具体的な事例を公表する考えだ。「労務費の基準」を著しく下回る見積もり・契約の禁止など、新たなルールの定着に向け、どのような取引が法違反の恐れがあるかを分かりやすく伝える。
提供:建通新聞社