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2009/08/27

千葉野田市 労働者の適正な賃金確保に向け公契約条例案提出

 千葉県野田市は、市が発注する公共工事や業務の受注者や下請け業者に対し、労働者の適正な賃金水準の確保を義務付ける「公契約条例案」を9月3日に開会する市議会に提出する。公契約条例が可決されれば全国で初めて。2010年度に発注する一定規模以上の工事・業務から導入する。
 条例で義務付ける労働者の最低賃金は、公共工事の場合、国土交通省と農林水産省が毎年設定している「公共工事設計労務単価」を基に市が設定する。業務委託は市職員の給与条例に基づいて定める。詳細は、条例可決後に関連規則を制定して決める。
 工事・業務の受注者には、市が設定した賃金水準以上の支払いを義務付ける。下請け業者も対象となる。賃金の支払い実態は、賃金台帳の提出を義務化して確認する。設定した賃金を下回っていた場合は、事業者に改善命令を行う。それでも従わない場合は、事業者名の公表や契約の解除も行う考えだ。
 対象とする案件は当面、予定価格が1億円以上の工事と、1千万円の業務委託とする。業務委託については、施設の点検や維持管理、清掃に限定する。市職員の事務負担の軽減が理由。円滑に運用できるようになれば、対象を拡大することも検討する。
 一般競争入札の拡大による過当競争などで落札価格が低下する中、労働者の賃金へのしわ寄せによる工事・業務の質の低下を懸念した措置。市では05年に公契約法の制定を千葉県市長会に提案。全国市長会も同年「公共工事における建設労働者の適正な労働条件を確保するため、関係法令の整備を図ること」を国に要望している。
 その後進展がないことから、野田市が先行して条例化を目指すことにした。野田市ではこの取り組みをきっかけに、国が公契約法の整備に動きだすことを期待している。

提供:建通新聞社