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2009/11/04

住友林業と王子製紙グループが社有林を核に共同事業 「森林施業の団地化」「認証材の活用」〜国内林業の再生目指す

 私有林を大規模に所有する企業同士が、森林を一つにまとめて団地化し、効率的に間伐を進めようという試みが愛媛県内で始まる。住友林業と王子製紙、王子木材緑化の3社が、それぞれの社有林を核に、国内林業再生の実現を目指した共同事業の覚書を10月30日に締結した。北海道では、間伐などの管理が行き届いた各社の社有林から生産される認証木材を、住友林業が販売する戸建て注文住宅に活用する事業にも取り組む。健全な森林の整備と国産材の利用促進につなげる考えだ。
 日本の国土の約7割、2500万fが森林だが、人工林の多くは作業道の整備の遅れなどにより手入れが不十分で、良好な環境を保っているとは言えない状況にある。
 こうした状況を改善するため、住友林業と王子製紙グループの各社有林を生かし、「愛媛県内での森林施業の団地化」と、「北海道でのSGEC(緑の循環認証会議)認証材の積極的活用」に取り組むことにした。
 愛媛県では王子製紙グループの社有林を核に、同グループと住友林業が共同して、周辺民有林との団地化を進める。スケールメリットを生かすことで、間伐が行き届いた健全な森林づくりを促進し、衰退が目立つ地域の林業を活性化させるのが狙い。
 北海道では、住友林業の社有林(紋別地区)と王子製紙グループの社有林(宗谷地区、遠軽地区)から生産されるSGEC認証材丸太を建築用の集成材に加工。住友林業が販売する戸建て注文住宅に使用する。
 SGEC認証は、森林が適正に管理され、公益的機能を果たしていることを第三者の立場で証明する制度。住友林業と王子製紙グループは国内すべての社有林で認定を取得している。
 今後、共同事業の成果やノウハウを全国に広げることで、森林の健全化と林業の再生を実現していきたい考え。
 今年3月、住宅、建設、製紙・製材などの関連企業や大学の有識者らから成る「森林再生事業化研究会」(主査・米田雅子慶応大学教授)が発足。9月8日の会合で、国有林・公有林・私有林の区別を越えた「シームレスな広域の森林再生」を提唱し、国産材利用率の引き上げ目標を発表した。今回の共同事業の覚書締結は、こうした産官学の研究や活動とリンクしたもの。