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2009/12/16

直轄の調査・設計業務で新たな低入札防止対策 低入札価格調査の厳格化と業務成績の減点措置 国交省

 国土交通省は、直轄事業の調査・設計業務を対象にした低入札防止対策案を固め、15日の「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」に示した。低入札調査基準価格を下回った者に、積算内訳書・明細書や再委託用業務費用内訳書、担当予定技術者名簿などを提出させ、必要に応じてヒアリングを行う方針。また、総合評価方式の技術評価項目に「技術提案の確実な履行の確保」という項目を設け、必要経費の確保や技術者への適切な報酬の支払いなどを厳格に審査する。さらに低入札受注業務で必要経費の確保や技術者への適切な報酬の支払いがなされていなかった場合には、業務成績を減点する。2010年4月からの適用を見据えている。受注者側から要望が強かった低入札調査基準価格自体の引き上げは見送る方針だ。
 調査・設計分野の低入札対策として、国交省は07年度に低入札価格調査制度を全面導入して以降、入札価格内訳明細の提出や第三者照査の義務付け(08年12月〜)、手持ち業務量の制限強化(09年10月〜)など、さまざまな手を打ってきた。それにもかかわらず、低入札による契約率は08年度に約3割を占め、09年度に入っても大きな改善は見られていない。加えて、国交省が08年度に業務コスト構造を把握するために実施した「業務コスト調査」では、低価格で落札された業務の評定点が低いという傾向が明らかになった。
 こうした状況を踏まえ、国交省は調査・設計分野で一層の対策が必要と判断し、低入札価格調査の厳格化などに乗り出すことを決めた。
 低入札価格調査の厳格化に当たっては、低入札調査基準価格を下回った者に@積算内訳書・明細書A担当予定技術者名簿・人工内訳書B照査技術者名簿・人工内訳書C再委託業務費用内訳書(再委託予定先からの業務内容・費用確認書を含む)―を提出させる。これによって、▽直接人件費や直接経費、技術的経費、諸経費の内訳の明確さ▽技術者の報酬や手持ち業務量の適切さ▽再委託先への支払いの適切さ―などをチェックする。必要に応じてヒアリングによる確認も行う考え。
 また、総合評価方式の技術評価項目に「技術提案の確実な履行の確保」という項目を設け、必要経費の確保や技術者への適切な報酬の支払い、人工の適正さなどを審査する。評価のウエートや評価方法は今後詰めていく。
 低入札で落札された業務について、業務実施体制に問題があった場合には「業務執行上の過失」として業務成績評価を3点減点する。このほか、「工程管理能力」や「成果品の品質」などの評価項目にも審査結果を厳格に反映させることで、最大3点を減点し、合わせて最大で6点の減点措置を科す。
 直轄事業の工事分野では、低入札対策として低入札調査基準価格の設定範囲や算定式が見直されており、調査・設計関係団体からも同様の措置を求める声が高まっていた。しかし、08年度の業務コスト調査では低入札業務と非低入札業務で利益率の違いなどが明確にならなかったため、国交省はさらに実態を精査した上で、見直しの必要性を検討していく方針だ。

提供:建通新聞社<