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2010/06/25

経審の技術者評価 3カ月以上の雇用を要件化 現場代理人の常駐義務は緩和へ 国交省が経審審査基準や標準請負約款見直しで方向性

 国土交通省は24日、経営事項審査(経審)の審査基準や建設工事標準請負契約約款の改正に向けた方向性を中央建設業審議会総会に示した。経審の審査基準をめぐっては、評価対象とする技術者に必要な雇用期間を3カ月以上とする一方、高齢の継続雇用対象者を評価対象に含めることを想定。標準請負契約約款については、公共約款で定める現場代理人の常駐義務を、工事金額など一定の制約の下で緩和する考えを打ち出した。中建審は7月にも次回会合を開き最終報告をまとめる方針だ。
 経審の審査基準見直しは、いわゆるペーパーカンパニーを排除し、企業の実態をより公正に評価することが狙い。国交省は4月22日に開いた中建審での議論や、その後に実施した業界団体・地方公共団体からのヒアリングで寄せられた要望などを▽今回措置する「当面の見直し項目」▽さらなる検討が必要な「継続検討課題」▽中長期的な検討を要する「中長期的な検討課題」―の3分野に整理した。
 今回措置する項目のうち、建設投資の減少を踏まえた完工高(X1)評点テーブルの上方修正に当たっては、2010年度の予想平均点683点を17点程度引き上げ、平均点を700点にする。技術者評価については、「審査基準日時点の雇用」という現行の要件を、監理技術者制度で要求される「3カ月以上の雇用」に合わせる。一方、高年齢者雇用安定法の継続雇用制度対象者を技術者評価の対象に含める。
 法的整理の対象となった再生企業に対しては減点措置を講じる。具体的には、社会性などの評価(W点)の営業年数をゼロ年にリセットして評価する。営業年数が35年以上の企業は60点の減点となる計算。35年未満の企業も再生期間中は60点の減点となるよう措置する。
 W点には建設機械の保有状況やISOの取得状況を評価項目に追加する考え。ただし、W点のウエートバランスが過度に増大しないよう現行の評価項目を含めて点数を調整する。
 継続検討課題としては▽海外実績の評価対象への追加▽元請けが下請けを選定する場合の企業評価に用いる下請経審の創設▽W点審査項目の発注者ごとの弾力的な運用―を設定。中期的な検討課題には▽完工高ウエートのさらなる引き下げ▽営業キャッシュフローの評価ウエートの縮小▽技術者評価の業種限定措置の緩和―などを位置付けた。
 建設工事標準請負契約約款は、契約当事者間の対等性を確保し、下請けや労働者へのしわ寄せを防ぐ観点から見直す。
 受発注者間の協議を円滑化するため、公共・民間・下請けの各約款に協議段階で公正・中立な第三者(調停人)を立ち会わせることができる規定を設け、活用を推奨する。合わせて10年度に調停人を活用したモデル事業を実施した上で、11年度には調停人の選定や権限の基準を策定し、将来的に調停人の協議段階からの活用を原則化する。
 現場代理人の常駐義務をめぐっては、一定要件を満たした場合には常駐義務を緩和する規定を設ける。具体的な要件としては、▽工事の合計金額(例えば2500万円未満)や件数に上限を設定する▽工事個所が隣接している▽発注機関が同一である―ことなどを例示した。
 このほか、▽公共工事での中間前金の支払い方法▽個人注文住宅の代金支払いの方法▽大型民間工事での請負代金支払いの方法▽下請けの施工期間▽工事変更時の対応―などを明確化する。
 今後の検討課題には、下請けと下請けの取引実態に着目した「下・下間契約に関する標準的約款」の整備や、民間約款の定期的な見直しを位置付けた。