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2011/05/18

建設業の保険加入率「製造業と同水準に引き上げを」 国交省の建設産業戦略会議が議論を再開

 国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は17日に会合を開き、建設産業の在り方に関する議論を再開させた。東日本大震災をめぐっては「被災地では建設需要が急増するものの、長期的には産業構造を大きく変化させるものではない」とみて、これまでの議論の方向性を維持していく考え。保険未加入企業の排除については「少なくとも労働者単位で加入率を製造業と同水準まで引き上げる」ことで、委員の意見がおおむね一致したという。6月中に最終報告をまとめる方針だ。
 建設産業戦略会議は、災害時などに大きな役割を果たす地域建設業の再生方策を中心として、建設産業全体の在り方を探ることが狙い。当初は3月に入札契約制度に関する中間報告をまとめる予定だったが、東日本大震災の発生によって会議の開催が延期されていた。
 今回は東日本大震災の現状と課題をあらためて整理した上で、1月の基本方針で示した検討事項のうち▽保険未加入企業の排除▽重層下請構造の是正▽海外展開支援▽新事業展開支援▽再編・転業支援―について意見を交わした。
 東日本大震災が建設産業に与える影響については、「被災地では当面、建設需要が急増し、その後、減少に転じる」ことが想定され、今後の復旧・復興事業では建設産業行政上の課題が生じる可能性はあるものの、「建設産業の構造をマクロ的にとらえた場合、大きな変化はない」という見方が大勢を占めた。
 保険未加入企業の排除に当たっては、「労働者単位で保険加入率を製造業レベルまで高めるべき」との意見が強かった。労働者の保険加入率は、雇用保険で建設業が50・7%に対し製造業が86・5%、厚生年金保険で建設業が61・8%に対し製造業が87・1%となっている。今後はこうした現状を打開するための方策が論点となる。具体的には▽保険加入を建設業許可の際にチェックする▽元請けに対し、保険加入確認の努力義務を課す▽建設業団体によるチェック体制を構築する―といった選択肢があるとみられる。

提供:建通新聞社