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2015/08/26

赤黄チェック 全詳細設計で本格運用

 国土交通省は、直轄事業における設計成果の品質確保に向けた取り組みを強化する。単純ミスの防止に向け、データ入力時の確認不足による図面作成ミスを減らす「赤黄チェック」を2016年度から全ての詳細設計業務に適用する。業務の履行期限が3月に集中して作業時間・照査時間が不足することが不具合の増加を生むとして、繰越制度を適切に運用したり、国庫債務負担行為の活用を検討するなどといった履行期限の平準化にも取り組む。
 25日に開いた「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」にこうした方向性を報告した。国交省は、改正品確法に調査・設計の品質確保に関する条文(第24条)が新設されたことから、これまで進めてきた設計成果の品質確保を図るための取り組みを強化する方針を示した。
 赤黄チェックは、設計図、設計計算書、数量計算書などに確認マークを黄色で入れ、修正箇所の訂正を赤字で入れる設計照査手法の一つ。13年度に詳細設計業務約60件で試行したところ、不具合の発生率を低下させる効果が確認された。ただ同時に、赤黄チェックを取り入れた照査には、一定の作業時間と人員が必要になるため、標準歩掛と実態との乖離(かいり)を指摘する声も受注者から上がった。
 国交省は、15年度末まで行う赤黄色チェックの実態調査を踏まえて歩掛を改定し、実態との乖離を解消させるとともに、現在は特記使用書で規定している赤黄チェックを共通仕様書に位置付け、16年度から全詳細設計業務で本格運用する考えだ。
 一方、直轄事業で3月に履行期限を迎える調査・設計業務は、11〜13年度の3年間の平均で68%を占める。3月を履行期限とする業務は、2月までに履行期限を迎える業務と比べ、不具合が発生する割合が14%増加するなど、履行期限の集中が品質の低下を招く傾向も見られる。
 国交省は、履行期限の集中を回避するため、3月を履行期限とする業務を全体の50%以下とする目標を2011年度に設定。14年度実績で見ると、3月を履行期限とする業務は全体の63・3%と過去最低にまで低下した。
 この背景には、繰越制度を活用し、年度内に完了できなかった予算の支出を翌年度に繰り越したことがある。14年度に繰越制度を活用した業務は前年度比7・2ポイント増の9・8%に上った。国交省は、引き続き繰越制度の適切な運用を図るとともに、発注段階で複数年度にまたがる履行期間の設定を可能にする国庫債務負担行為を調査・設計業務に活用することも検討する。

提供:建通新聞社