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2015/11/01

「意識改革」が必要 国交省の治水対策検討委

 国土交通省の「大規模氾濫に対する減災のための治水対策検討小委員会」(委員長・小池俊雄東京大学大学院工学系研究科教授)の初会合が30日に開かれた。鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨災害を受け、「水防災意識社会」再構築を目指した取り組みを検討するもの。会議では、被害を軽減するための堤防構造の工夫、水害リスクを踏まえた土地利用など、減災のためのソフト・ハード対策を盛った提言の骨子について議論が交わされた。
 会議には石井啓一国交相が出席。「鬼怒川のような災害を繰り返さないために、洪水対策に全力で取り組む」との考えを示した。また、市町村や住民の意識改革が必要とし、ハザードマップ作成などソフト施策の実施に当たっては、「管理者目線から住民目線への転換を図る」と述べた。
 提言の骨子ではまず、わが国のかつての防災意識について「水屋や上げ舟などが備えられ、洪水氾濫に自ら対処しようとする意識が根付いていた」と指摘。その上で、施設能力を上回る洪水の発生頻度が今後高まるとして、「施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」との認識を社会に浸透させ、「水防災意識社会」を再構築すべきとした。
 このため、今後速やかに実施すべき対策として、▽市町村長の避難勧告などの適切な発令を支援する取り組み▽住民などの主体的な立ち退き避難を支援する取り組み▽的確な水防活動の実施▽被害軽減を図り、円滑な避難を支援するための施設整備の推進―を挙げた。
 施設整備については、堤防の量的整備や質的強化など治水対策の着実な推進や、決壊までの時間を少しでも延ばし、被害軽減を図るための堤防構造の工夫(堤防法尻部の補強や天端保護など)を盛った。
 これらに加え、速やかに検討に着手し、早期実現を目指すべきこととして、水害リスクを踏まえた土地利用推進や、円滑な避難や被害軽減のためのソフト・ハード対策の一体的な推進を盛り込んだ。このうち、水害リスクについては、多様な主体が評価できるような浸水想定区域データのオープン化、不動産関連業者に対する浸水想定区域の説明会開催などを行うべきとした。円滑な避難、被害軽減に向けた施策としては、具体的な被害軽減対策を定める河川整備計画策定手法の確立などを挙げている。
 検討委では今回の議論を踏まえ、11月下旬に提言をとりまとめる方針だ。

提供:建通新聞社