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2015/11/05

基礎杭問題対策委が初会合

 国土交通省は4日、旭化成建材が関わった杭工事で施工不良や施工データの流用などが相次いで発覚している問題で、原因究明や再発防止策を検討する「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」の初会合を開いた。委員長に就いた深尾精一首都大学東京名誉教授は冒頭で「(重層下請などの)建設産業特有の構造も議論の対象となる」と述べ、杭工事の適正化や施工データの記録・保存の在り方に加え、建設工事全般や制度の在り方にも踏み込んで再発防止策を検討する考えを示した。
 横浜市のマンションにおける施工データ流用や基礎杭の支持層未達に端を発し、複数の現場代理人による施工データの流用が発覚するなど、旭化成建材の杭工事における不正は全国に広がりつつある。
 委員会は学識者9人で構成し、年内に再発防止策などを盛り込んだ中間報告をまとめる。再発防止策を早急にまとめることで、問題発覚後に国民に広がる杭工事をはじめとする建設工事全体への不信感を払しょくする役割を担う。今後、杭工事の施工と施工データ記録の実態を把握するとともに、横浜市のマンションにおける施工不良、旭化成建材による施工データ流用の発生要因を分析し、再発防止策をまとめる。
 初会合に出席した委員からは「データ流用と杭の支持層未達の問題は分けて考えるべき」「契約書で(杭工事の)責任の範囲が明示されていたが確認する必要がある」「コンプライアンスの徹底をベースに議論すべき」「杭の安全性、沈下の問題を技術的に検証しなくてはならない」といった意見が挙がったという。
 会合の終了後に会見した深尾委員長は、法制度の見直しによる規制の強化の必要性を問われ「(規制の強化よりも)建設工事に実際に携わる方々がこの問題を真剣に捉え、改善の方向性を示す作業が最も求められているのではないか」との見解を示した。また、建設産業のコンプライアンスについては「(この問題を契機に)少しでも改善できれば、災いを転じて福となすことができる」とも語った。

提供:建通新聞社