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2015/12/09

法定福利費テーマに研究会 

 建設産業経理研究機構(FARCI)は、元下間で法定福利費の支払いを担保する枠組みを話し合う「法定福利費に関する調査研究会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)を立ち上げ、7日に初会合を開いた。国土交通省からの受託事業として、社会保険加入の原資となる法定福利費の法的位置付けや会計処理方法などを整理するとともに、社会保険加入率の向上策を提言する。初会合では、法定福利費の適切な見積もり・契約・支払いに関する業界標準の構築なども議論に上っている。
 法定福利費の支払いをめぐっては、国交省の働き掛けで、元請けに法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を活用し、下請けが社会保険加入に必要な法定福利費を元請けから受け取る取り組みが進められている。ただ、法定福利費を確保できてもそれ以外の費用を「減額調整」され、実質的に社会保険料を確保できないといった実態も指摘されている。
 国交省は、社会保険に加入する下請けが法定福利費を実質的に受け取ることができる方策を検討する調査業務をFARCIに委託。FARCIは、学識者、弁護士、公認会計士、建設業団体を集めた研究会で、法定福利費の支払いを担保する方策を2016年3月に提言する。
 研究会では、標準見積書に盛り込まれる法定福利費の法的位置付けや会計処理の方法などを整理するとともに「事後精算」「別枠支給」「別枠明示」など支払い実務の在り方も検証する。
 これらの整理・検証を踏まえ、社会保険加入率の向上につながる具体策を提言する。初会合では、法定福利費を適切に盛り込んだ契約を結ぶための環境整備として、建設企業の電子商取引の標準仕様「CI―NET(建設産業情報化ネットワーク)」や、見積段階で価格決定に必要な事項をリスト化した「施工条件・範囲リスト」などの活用を挙げた。
 また、法定福利費明示の位置付けを▽建設業法に基づく見積もり義務▽標準下請契約約款▽完成工事原価報告書―など、法制度に踏み込んで見直し、元下双方に対する強制力を高めることも検討。一方で、下請けが標準見積書を提出しやすい環境を整えるため、現在は各専門工事業団体によって内容にバラツキがある標準見積書など、業界標準を構築することなども検討するとした。
 
提供:建通新聞社