トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2016/09/30

オリパラ調査チーム 新規恒久3施設の早期見直し求める

 「海の森水上競技場は宮城県長沼へ移設」「オリンピックアクアティクスセンターは辰巳水泳場の改修による対応」「有明アリーナは既存の展示場・アリーナの改修で対応」を早急に検討すべき―。2020年東京五輪で東京都が建設する新規恒久施設の妥当性を検証してきた都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームは、設計・施工一括方式で契約済みの3施設について、いずれも抜本的な見直しが必要だとする報告書をまとめた。組織委員会が整備する仮設施設についても、費用負担の基本ルールを決めて主体を明確化するとともに、費用の見積もりを急ぐよう求めた。施設計画の見直しには組織委員会やそれぞれの競技団体、国際オリンピック委員会などとの協議が必要になる他、選択肢によっては他の自治体や国の負担も発生することから、今後、小池百合子知事が担当部門などの意見も踏まえて都としての意思決定を行う。
 調査チームでは、都の新規恒久施設(7施設、合計2241億円)と組織委員会の仮設施設(調査チームによる見込額合計約2800億円)について経費見直しの余地を検討した。
 その結果、既に設計や工事に着手している都の新規恒久7施設について、「関係機関との協議を経て、他県への立地や既存施設の改修による対応など変更の可能性探るべき」と結論付けた。特に海の森水上競技場とアクアティクスセンター、有明アリーナの3施設については「対応を急ぐべき」だとした。
 海の森水上競技場はボート・カヌー(スプリント)会場として利用する計画。既に一部工事に着手しているが、「競技会場としての有用性・利便性について一部のアスリートやチームから疑義が出ている。レガシーとして利用されるか不透明な部分が多い」と指摘。代替会場として利用可能な▽宮城・長沼▽戸田・彩湖▽長良川―と比較検討し、「宮城・長沼」への移設の可能性を探るよう提案した。海の森を建設する場合でも仮設とすべきだとしている。
 水泳会場とするアクアティクスセンターは、大会時の2万席のプランが大きすぎること、大会後の減築に伴う費用が高いことを問題視。近くにある辰巳国際水泳場を含め代替場所の検討をしてこなかったことにも疑問を示し、「辰巳国際水泳場の改修」「辰巳隣接地での新設」「内陸部での新設・改修」といった代替案を本格検討するよう求めた。アクアティクスセンターを整備する場合でも、減築しないことを含めた抜本的コスト削減策の検討が必要だとしている。
 バレーボール、車いすバスケットボールの会場とする有明アリーナについては、国内の類似施設は要求基準を満たさない、または大会時に他競技で使用予定のため「恒久施設または仮設での用意が必要」と判断。しかし、既存施設の活用や仮設対応を検討してこなかったことから、「多目的展示会場などの転用をまずは検討すべき」とした。
 調査チームでは今後、残る恒久4施設と都内の仮設施設についても同様に調査を行って見直しを検討する。

提供:建通新聞社