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2018/03/20

建設業許可制度見直しへ 社保加入を要件化

 国土交通省は、3月19日に開いた中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会に、社会保険加入を建設業許可要件とする方針を示した。企業単位の社会保険加入率は既に90%を超えているが、公共工事を受注する企業と、民間工事のみを受注する企業、高い次数の下請け企業との間には加入率の差が依然としてある。未加入業者に許可を与えない措置を講じることで、社会保険加入対策をさらに強化する。
 公共事業労務費調査における建設業の3保険加入率(企業単位)は2017年10月時点で96・7%に達しているが、元請けと3次下請けの加入率には7・7ポイントの差がある。許可業者全体の加入率も92・3%(2月末時点、推計値)と公共事業に従事する企業の加入率より低くなっている。
 国交省は、社会保険加入対策の企業単位での目標を許可業者100%加入としており、建設業法上の許可要件に社会保険加入を位置付け、民間工事の現場も含めた目標達成を確実にする。
 19日の会合で、国交省は他法令における社会保険加入の扱いについて説明。これによると、道路運送法と貨物自動車運送事業法では、トラック・バス事業者の許可要件に社会保険加入を位置付けている他、船員職業安定法と港湾労働法では、保険法の罰則を受けると5年間は許可を与えない規定を設けている。
 主な建設業団体も、許可要件化に賛同の意思を示していることから、建設業法でも運用上の加入指導から許可要件へと対策の厳格化に踏み切る。ただ、許可要件化には、加入を逃れようとする企業が許可の不要な500万円未満(建築1500万円未満)の工事に流れ、無許可業者が増えるとの懸念もある。発注者への要請などを通じ、発注段階での未加入企業の排除も合わせて働き掛ける。
 会合ではこの他、建設業の働き方改革を推進するため、受発注者に適正な工期設定に関する責務を求める方針も説明。昨年8月にまとまった「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」で受発注者に求めている▽工期タンピングの禁止▽長時間労働の是正、週休2日を考慮した工期設定▽下請け代金の現金払い▽施工条件の明確化―などを法令・約款で制度化する方向性を示した。

提供:建通新聞社