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2019/10/30

直轄工事に適正工期指針 19年度末に策定

 国土交通省は、品確法の発注者の責務に適正な工期設定が位置付けられたことを踏まえ、2019年度末に「直轄工事における適正な工期設定指針(仮称)」を策定する。発注者が工期を設定する上での一連の手続きを指針としてまとめる。余裕期間制度や工期設定支援システムの活用など、全省での取り組みに加え、「工事工程表の開示」や「情報共有システム(ASP)を活用した工事工程の共有」など、地方整備局独自の先駆的な取り組みも盛り込む。
 改正品確法では、建設現場の働き方改革を推進するため、休日・準備期間・天候などに考慮した適正な工期を設定することを発注者の責務とした。改正建設業法でも「著しく短い工期」での請負契約を禁止するとともに、中央建設業審議会が適正な工期を設定するための「工期に関する基準」を作成するとした。
 時間外労働の上限規制が建設業に適用される2024年4月を見据えたこれらの法整備に合わせ、直轄工事の発注者が工期設定する際に活用する指針を策定する。
 直轄工事での工期設定は、これまでも、現場の準備・後片付けに最低限必要な日数を工種別に設定する「準備・後片付け期間」、受注者が実工期を柔軟に設定できる「余裕期間制度」、工事工程のクリティカルパスを受発注者で共有する「工事工程の受発注者間での共有」などを運用している。
 数量と日当たり施工量から工種ごとに標準的な必要日数を自動算出できる「工期設定支援システム」も2017年度に導入。今年8月には、工程表の作成を人工知能(AI)でアシストする機能を追加するなど、同システムをバージョンアップした。システムは、地方自治体にも無償提供している。
 直轄工事における適正な工期設定指針には、国交省全体で直轄工事の工期設定に適用しているこれらの施策に加え、地整が独自に実施している施策も先駆的な事例として盛り込む。例えば、関東地整が週休2日工事で試行している「工事工程表の開示」は、発注者が算定した工期や住民合意の進捗状況などを工程表にまとめ、入札公告時に入札参加者に公表する。入札参加者が発注者が想定する工事工程やリスクを事前に把握できるため、入札不調を防止する効果もあるという。

提供:建通新聞社