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2019/11/20

高力ボルト需給安定化へ 「発注様式」浸透

 2018年夏からひっ迫していた高力ボルトの需給が安定化に向かい始めたことが、国土交通省の調査で明らかになった。メーカーの在庫不足などの理由で、高力ボルトの納期は今年3月に最長7・8カ月(平均)まで長期化したが、10月時点では最長6・5カ月まで緩和した。国交省は、5月に活用を要請した業界統一の「発注様式」が流通業者の6割で活用されるなど、需給安定化に向けて取り組んだ対策の効果が表れたとみている。
 高力ボルトの不足傾向は18年夏ごろに顕在化し、国交省の調査で18年10月に最長6・1カ月(最短4・2カ月)だった納期は、19年3月に最長7・8カ月(同6・0カ月)まで悪化していた。
 高力ボルトの過去3年間の需要に変動はなく、ボルトメーカー各社の生産量の範囲内に収まっている。同省は、需給ひっ迫の要因が需要側の水増し・重複発注などの「仮の需要」にあると分析。5月には、高力ボルトの必要な時期・数量を把握でき、仮の需要での注文を抑制するための発注様式を作成し、流通業者や建設企業に活用を求めていた。
 国交省が供給側・需要側に対して行ったアンケート調査によると、10月時点の高力ボルトの納期は最長6・5カ月、最短4・7カ月まで緩和。地域別にみても、3月時点より0・7〜3・1カ月納期が短くなっている=グラフ参照=。
 国交省が作成した発注様式は、ボルトメーカーの全3社、流通業者の6割が活用していると回答。発注様式に必要な発注情報(工事分野、納期など)を提供していると回答した建設業者も7割に上った。
 不足傾向は沈静化に向かっているものの、通常の高力ボルトの納期は平均1・5カ月〜2カ月。国交省は需給のさらなる安定化に向け、発注様式の活用の徹底を図る。19日、関係する建設業団体9団体に対し、発注様式を活用する流通業者に的確に発注情報を提供するよう要請した。