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中央ニュース

2021/08/03

建設トップランナーフォーラム(3)

 岐阜県下呂市は、昨年の「令和2年7月豪雨」で、国道41号の道路崩壊やJR高山本線に土砂が流入するなど、大きな被害を受けた。馬瀬建設(森本繁司社長)がある市内の馬瀬地域も被災し、1年が経過した現在も各所で復旧工事が進められている。
 下呂温泉がある下呂市中心市街地から北西に位置する普段の馬瀬は、アユ釣りで全国的に有名な馬瀬川や金賞米が実る水田など、山々の豊かな自然に恵まれた地域。しかし、ひとたび天候が牙をむけば、土砂災害の発生リスクが高い場所となる。
 地域社会の持続には、エッセンシャルワーカーである建設業従事者が安心して働ける職場として、馬瀬建設が馬瀬にあり続けなければならない。
 森本翔太郎専務は、人材の確保や育成と、魅力ある建設現場づくりなどの職場環境改善を進めるため、「2017年度に岐阜県が創設した『ぎふ建設人材育成リーディング企業認定制度』を活用している」と話す。
 岐阜県内の建設企業に広く知られているこの制度は、労働環境改善や人材育成などに取り組むことを宣言する建設企業と建設関連企業を「岐阜県建設人材育成企業」として登録し、さらに積極的な取り組みを行う企業を岐阜県が「ぎふ建設人材育成リーディング企業」として認定している。
 6月17日時点で、人材育成企業の登録は529社、リーディング企業には254社が認定されている。リーディング企業は、非常に優秀な「ゴールド」、優秀な「シルバー」、優良な「ブロンズ」と三つのランクがあり、現在の認定数はゴールドが77社、シルバーが78社、ブロンズが99社。
 馬瀬建設は、ゴールド認定が10社だった第1回の17年からゴールドランクを維持してきた。
 森本専務は、認定企業の増加について「岐阜県内の建設企業と建設関連企業の労働環境改善や人材育成などの取り組みが、全体的に底上げされた結果だ」と喜ぶ。
 さらに「岐阜県では『ぎふ建設人材育成・確保連絡協議会』を設立。産官学が連携し、建設産業のやりがいと魅力の再認識に向けた施策を検討している」とし、単独企業では企画が難しい「企業と学生の交流サロン開催」など、県の建設業へのサポートを感謝する。
 同社は経営方針にある、自社の資源と技術だけでモノづくりをする「自前主義」と「人づくり」を実現するため、完全週休2日制のいち早い導入や、年3回の賞与支給など、働く人に主眼を置いて取り組んできた。
 森本専務は「人材育成、設備投資、重機保有を積極的に進めた結果、現在では土木や舗装、法面工など多くの工種で自前主義が可能となっただけでなく、月平均残業時間も5・2時間と改善した」と話す。社員の約3割は20代と30代。年齢構成バランスもとれている。
(地方建設専門紙の会)