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中央ニュース

2022/03/04

水門の健全度 専門技術者が診断・評価

 国土交通省は、水門など河川用ゲート設備について、「専門技術者等」が施設ごとに健全度を評価する体制が必要だとの考えをまとめた。3月3日に開いた社会資本整備審議会河川分科会の河川機械設備小委員会で提示。7月の答申を目指し、今後議論を進める。
 専門技術者等は、2015年に策定した点検マニュアルで定義されている「専門技術者」または「専門技術者と同等の能力を有する者」。設備の保全に必要・十分な知識と実施能力を持っている技術者とする。
 通常の保全サイクルでは把握できない劣化の状況や、原因を専門技術者等が診断・特定し、設備の健全度を評価。2〜3年以内に整備・更新・取り換えを行うべき設備の状態を抽出する。併せて、状態の監視保全が困難な部位の点検項目なども見直すこととする。
 水門など河川用ゲート設備は、トンネルや道路橋の法定点検の基準と異なり、必要な知識と技能を有する者が定期点検を行うこととされていない。さらに、点検結果を踏まえた健全度評価や補修計画の立案は、施設管理者が必要に応じて実施しており、必ずしも専門技術者が行っていない。
 ゲート設備は老朽化が進み、おおむね半数が設置から耐用年数の40年を経過する。その割合は10年後に7割に達するとされ、今後、多くのゲート設備で健全度の低下が見込まれる。
 また、常時全閉状態にある堰ゲートでは近年、水中部のボルト腐食やワイヤーロープの破断など、目視できない部分に起因する不具合が発生している。
 こうした現状を踏まえ、水門などのゲート設備の信頼性をこの先も確保していくため、専門技術者に技術的判断を求めていく。
 河川機械設備小委員会ではこの他、水門の操作を段階的に遠隔化に移行していくことや、機械設備のデータベース化など、老朽化する河川用ゲート設備の更新の在り方についての論点と、それぞれの対応方針を明示。マスプロダクツ型排水ポンプについては、1〜2月に実証実験を実施した結果、「稼働は良好だった」と報告した。


提供:建通新聞社