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2022/03/31

監理技術者等 ICT活用で2現場兼務

国土交通省は、監理技術者等(監理技術者、主任技術者)の専任要件の緩和に向け、監理技術者等が複数の現場を兼務するための「兼任可能な条件案」をまとめた。ICTを活用した遠隔管理と巡回管理を行うことを条件に、工事請負金額が1億円未満の2現場を兼任できるようにする。3月28日に開いた「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」の第3回会合にたたき台を提示。4月中に見直しへの検討結果を取りまとめ、最終的な条件を固める。
 建設業では、担い手不足が進み、現場への技術者の適正な専任配置が難しくなっている。一方で、遠隔臨場などICT活用が進んできたことを踏まえ、建設業団体からは「技術者の専任要件を緩和すべき」といった意見が上がっていた。
 こうした状況を踏まえ国交省では、監理技術者等の専任制度の見直しに向けた議論に着手。今回、監理技術者等が複数の現場を兼任できる条件案をまとめた。
 条件案によると、監理技術者等が兼任できるのは、比較的小規模で適正な施工体制を確保しやすい工事。さらに、監理技術者等が連絡要員などのサポートを受け、ICTを活用した遠隔管理と巡回管理を行うことができる工事をイメージする。
 具体的な兼任可能条件は、▽請負金額がいずれも1億円未満(建築工事は1億5000万円未満)の2現場を兼任する▽監理技術者等と各現場間で、現場の状況確認と意思疎通に必要な音声・映像の送受信が可能―などを想定。工事全体の下請け次数が3次以内や、建設キャリアアップシステム(CCUS)により施工体制を遠隔から把握できることも条件としている=表参照。
 兼任現場間の具体的な距離・範囲は今後詰める。
 技術制度検討会ではこの他、営業所専任技術者の専任制度見直し案と技術検定受検に必要な実務経験の見直し案も示した。
 このうち技術検定の受験資格では、これまで1級の第一次検定・第二次検定ともに、大学などの卒業後の実務年数を求めてきたが、第一次検定については一定年齢以上の全ての者に受験資格を認めるようにする。見直し案では1級の第一次検定で「19歳以上」、第二次検定で「1級技士補として監理技術者等の指導の下での実務経験3年」に受験資格を変更する。
 今回の技術者制度検討会では、日本建設業連合会、全国建設業協会、住宅生産団体連合会、日本電設工業協会の4団体から意見を聴取。見直しの方向に一定の理解を得た。今後、4団体以外の団体や、地方自治体など発注者側からの意見も聞きながら、最終条件の検討を進める。

提供:建通新聞社