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中央ニュース

2022/09/06

第16回建設トップランナーフォーラム(8)

 2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという政府目標の達成に向け、地域建設業にはどのような役割が求められるのか。第4部の「地域建設業のグリーン戦略をどう進めるか」をテーマとしたパネルディスカッションでは、建設業が根差す地域社会の将来像までを射程に収めた意見が活発に交わされた。
 パネリストは国土学総合研究所長の大石久和氏、農林中金総合研究所理事長の皆川芳嗣氏、加藤建設(愛知県)会長の加藤徹氏、建設トップランナー倶楽部代表幹事の米田雅子氏。コーディネーターを荒木コンサルティングオフィス代表の荒木正芳氏が務めた。

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 2050年を見据えた議論に当たって、パネリストは異口同音に地方への人口分散の必要性を指摘した。大石氏は、首都圏が大規模地震リスクにさらされていることに触れた上で、「大都市中心主義の時代は終わった」と強調。米田氏も自然災害の少ない地域へと居住の場を移動させ、自然が持つ機能を活用する「国土利用の方針転換」を提示した。皆川氏は「50年カーボンニュートラル、30年SDGsをどう実現するかは、社会の在りようを含めて考えなくては」と述べた。
 では、建設業は地域の中でどのような環境活動を展開すべきなのか。加藤氏は、現場ごとに自然への配慮策を考え、発注者に変更提案も行う「エコミーティング」を報告。活動が環境分野の人材確保につながった自社の例を紹介し、「日本中で取り組めば、建設業のイメージが180度転換する」と呼び掛けた。
 これを受けて米田氏は、「建設業がリーダーとなって環境再生を進めるのが大事だ」と発言。皆川氏は、建設業が林業などとも連携し、地域内での資源・経済の循環をリードすることがカーボンニュートラルにつながるという見方を示した。大石氏は建設業の役割について「地方を回復させ、緑豊かに暮らせる環境を整備することに尽きる」と力説した。
 企業が環境活動を持続可能なものとするには、ビジネス的な観点も欠かせない。米田氏はトップランナー倶楽部の会員企業の活動事例について「地に足がついている」点を評価。皆川氏は「トップランナー倶楽部でお互いに学び合うことで、さらに成果が増すのでは」と期待を寄せた。加藤氏は、環境ビジネスについて「すぐに対価は得られないかもしれないが、何世代にもわたる財産を残すことだ」と述べた。大石氏も「われわれは次の世代に何を残すのか」と応じ、住みやすい地方を実現するため質の高いインフラを整備する必要性を訴えた。
 荒木氏は、裾野が広い建設業がカーボンニュートラルに取り組むことのインパクトを強調。若年層で環境分野への関心が高いことに触れ、「建設業のイメージアップ、入職促進にもなる」と締めくくった。(地方建設専門紙の会・建通新聞社)