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2022/11/01

建設向け金融事業 資金繰り改善へ運用変更

 国土交通省は、地域建設企業の手元の資金繰りを改善するため、建設業向け金融事業の運用を見直すよう、建設業振興基金を通じて融資事業者に要請した。元請け向けの金融事業では、単品スライド条項適用工事での増額分を融資金額に速やかに反映できるようにした。下請け向けは12月1日から期日前債権の現金化を可能にする。いずれも足元の資材価格高騰を踏まえた取り組み。
 元請け向けの金融事業では、地域建設業経営強化融資制度の運用を改善し、単品スライド適用工事での増額分の融資のタイミングを前倒しした。
 単品スライドでの増額分の融資は、融資事業者が、発注者と元請けが交わす「変更契約書」を確認した上で、実行することとしてきた。変更契約書は工期末に発行するため、元請けはスライド適用が認められても増額分の融資を受けるためには、工期末まで待たなければならなかった。
 国交省は、工期末の45日前に、発注者が受注者に増額分の請負代金を明示して通知することになっている「協議書」の記載額と、変更契約書の最終的な変更額が同一になることに着目。協議書の確認で融資を実行できるよう運用を見直すこととした。10月28日に建設業振興基金を通じて融資事業者に要請した。
 一方、下請け向けの金融事業は下請債権保全支援事業が対象となる。中小・中堅建設企業が保有している元請けの債権のうち、支払いが確定した手形や電子記録債権について、期日前でも現金化できるようにする。手元の資金繰りの改善につなげる他、元請けが倒産した場合の連鎖倒産を防ぐ狙いもある。
 融資事業の運用見直しは、国交省による「資材価格高騰等を踏まえた地域建設業における円滑な資金供給の強化」の取り組みとして、政府の新たな総合経済対策にも位置付けられている。

提供:建通新聞社