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2023/08/02

盆暮れ通達 優越的地位の乱用に留意を

 国土交通省は8月1日、適正な下請け契約と代金支払いを建設業界に求める、盆暮れ通達≠建設業団体、公共発注者、民間発注者に送付した。「資材価格の高騰」への対応では、公正取引委員会が示した、独占禁止法上の優越的地位の乱用に該当する恐れがある行為の発生防止に留意するよう求めた。
 資材高騰への対応では、価格の高騰が続いている現状を踏まえ、引き続き、元下間または下下間の契約で、スライド条項など、工期内の賃金または物価の変動に適切に対応するよう要請。請負金額や工期に変更が生じる場合、元下双方で協議し、着工前の書面による見積もり依頼や変更契約を徹底することを求めた。
 公正取引委員会では、「価格交渉のための協議の場を設けない」「価格転嫁しない理由を書面などで回答することなく価格を据え置く」といった行為について、「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあるとしている。
 こうした解釈を踏まえ通達では、資材価格の変動で工期や請負金額が不適当となり、変更する必要が認められるときは、元下の双方が協議し、書面による変更契約を徹底することを明記。契約上の立場が強い発注者は、積極的に協議の場を設けなければならず、価格転嫁しない場合には、その理由を書面や電子メールなど形に残る方法で受注者に伝える必要もあるとした。
 著しく短い工期による請負契約の締結の禁止については、受発注者間だけでなく、元下間でも適用されることに留意するよう改めて明示。2024年4月からの建設業への時間外労働の上限規制適用では、残業を減らすため、ゆとりのある工期の設定が不可欠になるとした。
 インボイス制度は、今年10月からの施行に備える。関係省庁とまとめた「インボイス制度施行に関するQ&A」を参考にするよう周知。元請けと、免税事業者となる下請けとの対等な関係構築、公正で透明な取引の実現を目指す。
 盆暮れ通達は、資金需要が増す夏季・冬季の年2回、不動産・建設経済局長名で送付。元請けなどに、経営基盤の弱い下請け企業に対する適正な支払いを求める。
 この他の主な通達事項は、▽建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の公表を踏まえた能力評価▽発注者の信頼に応える施工管理▽建設発生土など再生資源と産業廃棄物の運搬・処理費用の適切な計上―などを徹底するよう要請した。

提供:建通新聞社