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2023/08/15

建設投資 意向は前向きも、物価高で後倒しに

 建設物価調査会が民間企業を対象に行った6月の設備投資マインド調査で、建設投資に前向きな姿勢が多かった一方、実際の投資額は減らすという回答が多かったことが分かった。建設投資の時期に関する質問では、後ろ倒しするという意向の企業が多数を占めた。資機材やエネルギー価格の高騰、人手不足などが影響し、意向はあるものの建設投資を手控えている民間発注者の傾向が示された形だ。
 この調査は、幅広い業種・規模の民間企業を対象に実施し、1034社から回答を得ている。6月1日時点の建設投資や機械投資といった設備投資の意向、動向をまとめた。
 建設投資の意向を聞く調査では、「前向き」「やや前向き」と答えた企業の割合から「後ろ向き」「やや後ろ向き」との回答割合を差し引いた建設投資マインド判断DI値を算出。全産業の6月時点は3・3ポイントでプラスの値となった。7〜9月時点は4・2、10〜12月は4・3で、徐々に前向きな割合が拡大する見通しだ。全般に、製造業よりも非製造業で前向きな姿勢が多い傾向となった。
 業種別では、建設業やサービス業、金融・保険業をはじめほとんどの業種でDI値がプラスとなり、建設投資に前向きだった。6月時点でマイナスは情報通信業と、製造業のうちの加工組立型、生活関連型。
 一方、投資額について「かなり増額」「増額」の回答割合から「かなり減額・中止・延期」「減額」の回答割合を差し引いた建設投資額判断DI値を見ると、全産業の6月時点はマイナス1・0で、減額の回答の方が大きな割合を占めた。7〜9月がマイナス1・2、10〜12月がマイナス0・3で、減額傾向だった。マインド判断と同様に、製造業よりも非製造業の方が増額意向が強かった。
 業種別では、非製造業は卸売り・小売業と金融・保険業を除いておおむねDI値がプラスとなった。製造業は基礎素材型、加工組立型、生活関連型のいずれもマイナスもしくはゼロだった。
 建設投資の時期について、「かなり前倒し」「前倒し」の回答割合から「かなり後ろ倒し・中止・延期」「後ろ倒し」の回答割合を差し引いた建設投資時期判断DI値では、全産業の6月時点はマイナス6・7で、後ろ倒しの意向が大きな割合を占めた。7〜9月はマイナス5・7、10〜12月はマイナス5・2で、後ろ倒しの傾向は続くものの、その割合は減少が見込まれる。製造業、非製造業とも、ほぼ全ての業種で同様の傾向だった。
■投資マインドは緩やかに上昇へ
 投資時期を遅らせる理由について調査した企業からは、人手不足と、エネルギーや資機材価格の上昇の双方が挙げられたという。建設物価調査会の担当者は「複合的な要素が影響している」と分析。一方、企業の財務状況の見通しは改善傾向にあることから、「今後、投資マインドは緩やかに高まっていく」と見ている。

提供:建通新聞社