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中央ニュース

2023/12/27

業務のダンピング対策 市区町村の4割未導入

 国土交通省は、2023年度の業務に関する運用指針調査の結果を公表した。各発注機関によるダンピング防止対策は全体的に前進したものの、市区町村では約4割の団体が低入札価格調査制度と最低制限価格制度のいずれも未導入だった。国交省は未導入の自治体名を明らかにする「見える化」の取り組みを継続し、制度の導入を促す。履行時期の平準化については、国の業務の7割超で履行期限が第4四半期に集中していた。
 ダンピング対策は、測量、建築コンサルタント、土木コンサルタント、地質調査の全4業種で「低入札価格調査制度・最低制限価格制度を未導入」と回答した発注者が、国で1機関、特殊法人で29機関、都道府県で1団体、市区町村で751団体(前回調査時803団体)となった=図参照。14年の品確法改正以降、全体的に導入が進んできたが、市区町村(未導入率43・6%)と特殊法人(24・0%)で対策が遅れている。
 著しく低い価格でのダンピング受注は、手抜き調査や労働条件の悪化につながり、公共工事の品質確保に支障をきたす恐れがある。国交省では、導入済みの自治体の取り組み状況を共有しながら、導入が後れている自治体に対する働き掛けを強めている。
 履行時期の平準化は、納期が年度末に集中することを避けるため、納期が1年を通して均等に設定されているかを発注機関別に調査した。第4四半期に納期を設定していた業務の割合が最も高かったのは国で75・8%だった。国の業務は大半が国交省直轄案件。この他、政令市では61・5%、都道府県では58・8%、市区町村では56・0%、特殊法人では41・4%の業務が第4四半期の納期となっていた。
 プロポーザル方式については、国、特殊法人等、都道府県、政令市で7割以上、市区町村で半数近くの団体が制度として導入していた。一方で、発注実績をみると、プロポの制度導入割合が比較的高い都道府県、政令市でも1割未満となった。価格だけでなく、技術提案の優劣を評価することが品質の確保につながるため、国交省では、各発注者に対して、総合評価も含めプロポ導入の重要性について理解を求めていく。
 業務に関する運用指針調査は品確法運用指針に基づくもの。今回の調査対象機関は、国が19機関、特殊法人が121法人、地方自治体が都道府県47団体、政令市20団体、市区町村1721団体。7月1日時点の状況を調べた。

提供:建通新聞社