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2024/04/25

油圧ショベルを自動運転 社会実装に「業界全体で協力を」

 国土交通省が設けた建設DX実験フィールド(茨城県つくば市)で4月24日、油圧ショベルによる自動施工のデモンストレーションが行われた=写真。土木研究所が提供した開発環境を活用し、ロボット・AIスタートアップのDeepXが建機メーカー横断で利用可能なソフトを開発。同社の冨山翔司代表取締役は自動運転の社会実装に向け、「建設業界全体で協力を」と呼び掛けた。
 土研が建設機械を制御するための信号や操作環境を提供し、DeepXが建機を動かすためのソフトを開発。従来のように個々の建機メーカー内部で完結するような形ではなく、施工者とスタートアップ、研究機関の連携による体制で取り組んだ。メーカーが異なっても適用可能なソフトとし、自動施工の普及に道筋をつける。今後2〜3年で実現場に導入する考えだ。
 デモンストレーションでは、油圧ショベルによる仮置き土砂のダンプへの積み込みを実施。油圧ショベルがライダーで周辺環境を認識し、土砂をダンプに積み込んだ。雨天での作業となり、地形検出に誤差が出る場面もあった。
 冨山氏は自動運転の活用の場として、日中の施工で排出された土砂を夜間に積み込む作業を例示。大規模土木などの現場での導入も可能だという。
 DeepXによると、建機の自動運転に特有の技術課題として、▽建設現場の状況が多様▽土質など、扱う対象の性質が一定でない▽トンネル内でGNSSが使えないといったネットワーク制約▽事故リスクの高さ―などがあるという。
 また、自動施工の現場での普及には安全ルールの構築が重要になるとした。冨山氏は実現場のニーズや課題認識に沿った開発の必要性を強調し、建設会社などとのさらなる連携に意欲を見せた。
 国交省はi−Construction2・0の中で2040年までに直轄現場の3割省人化という目標を設定し、施工の自動化を推進する方針を表明。今回のデモンストレーションはそのユースケースとなる。

提供:建通新聞社