2026年の国土交通白書は、「経済成長をけん引するハード・ソフトのインフラ」をテーマとした。人口減少によって労働力が減少する中、持続的な経済成長の実現には公共インフラや民間企業の設備投資といった資本投入と生産性向上が必要だと指摘。リニア中央新幹線や高規格幹線道路など、基幹インフラの充実強化に加え、水害対策による企業の事業継続性の担保、老朽化対策によるインフラの機能維持が重要になるとした。
白書は、インフラが生み出すストック効果として、企業立地や設備投資の誘発、経済活動に関わる生産性向上があるとした。一方、公共投資の抑制傾向が続いたため、高規格道路・整備新幹線の未整備区間の存在や、諸外国と比べた港湾の機能不足を例に「インフラが成長のボトルネックとなる懸念」を指摘。さらには、日本の国際競争力の低下にもつながる恐れがあるとした。
白書では、全国の製造業をはじめとした民間事業者に生産性向上のために重要な施策を聞いたところ、「生産性が高い基幹インフラの拡充・強化」が32・5%を占めたことを紹介。次いで「老朽化インフラの更新に合わせた経済的価値創出」が27・0%と多かった。
具体的な事業内容と今後の展望では、成長を加速させるインフラ投資として、品川〜名古屋間で建設中のリニア中央新幹線や16年度に事業化した大阪湾岸道路西伸部、成田国際空港の機能強化などを列挙。半導体関連の成長産業が急速に集積している熊本県でも中九州横断道路などのインフラ整備に期待が寄せられているとした。
既存インフラの有効活用に向けた再構築や、戦略的・計画的なメンテナンスの必要性にも触れた。
その上で、国民生活の改善に向けた国土交通分野の展望として、既存の道路空間を活用した新たな物流システム「自動物流道路」の実現や、AI・ロボットを活用したインフラメンテナンスを取り上げ、インフラを通じて社会課題を解決するとの方向性を示した。
提供:建通新聞社