全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の7月時点の調べで、議会の議決を経た契約の変更について、首長の「専決処分」の基準を定めていない都道府県が、全体の46・8%を占めることが分かった。政令市と県庁所在市の33・3%も、専決処分を行っていない。専決処分を行わないと、少額の契約変更でも議決が必要になり、工程の遅れなどを招くおそれがある。
専決処分は、行政手続きの遅れを避けるため、災害発生後の補正予算や、議会提出案件の契約変更などを都道府県知事や市区町村長が決定できる地方自治法上の特例。変更契約の場合は、契約締結後に議会への報告が求められる。
全建は、都道府県、政令市、県庁所在地の市の7月時点の専決処分の適用範囲を調査した。資材価格や労務費の上昇が顕著になった2022年度以降、同じ調査を行っているが、専決処分を導入している自治体数に大きな変動はない。
専決処分の適用範囲を決めていない都道府県は22都府県(46・8%)、政令市・県庁所在地の市は17市(33・3%)だった=表参照。
専決処分の範囲は、変更額か、当初契約額に対する変更額の割合で定められている。調査結果によると、変更額で専決処分の対象を決めている都道府県の中では、「変更額が1億円を超えない範囲」としている島根県が最も設定範囲が広い。変更額6000万円を専決処分の基準としている愛知県と高知県が次いで設定範囲が広くなっている。
一方、当初契約額の1割を超えない契約変更を専決処分の対象としている都道府県は9団体ある。宮城県と福島県は、東日本大震災の復旧・復興工事に限り、当初契約額の2割まで専決処分を認めている。契約金額だけでなく、工期延長に対する専決処分の基準を定めている都道府県もある。
政令市や県庁所在地の市には、都道府県よりも上限額が大きい事例もある。横浜市と川崎市は、当初契約額の1割以下であり、変更額6億円未満であれば専決処分が可能。岡山市は、当初契約額の1割以下であれば3億円、札幌市は1億2000万円まで専決処分を認めている。
■適切な変更契約は発注者の責務
国土交通省の直轄工事では、24年度にインフレスライドの適用件数が1000件を超え、全契約件数の1割近い工事で変更契約が結ばれている。価格上昇が続いている2020年代は、特に当初契約時点で予見できない価格上昇分を契約変更によって反映することが増えている。品確法でも、現場条件の変化や物価上昇に伴う変更契約は、発注者の責務とされている。
議会提出案件では、専決処分を導入していないと少額の契約変更であっても議決が求められるため、変更契約に時間がかかり、工程の遅れなどを招くおそれがある。工程への影響を懸念し、受注者が契約変更の申請をためらうことも考えられる。
提供:建通新聞社