中東情勢の悪化により4月から続いていた、石油由来の建設資材流通の不安定化(目詰まり)が、緩和してきている。国土交通省が開設した建設資材関係の窓口への相談件数は、6〜7月をピークに急減。一方で、塗料用シンナーや硬質ポリ塩化ビニル管といった資材の単価は高止まりしており、建設業者にとっては引き続き価格転嫁が大きな課題となる。
ホルムズ海峡の実質的な封鎖により、国内では3月以降、塗料やシンナー、塩ビ管、養生材など幅広い建設資材の供給が不安定化した。原料であるナフサの精製は継続していたものの、資材の手持ち分がなくなることを懸念した建設企業の発注が問屋やメーカーに短期間で集中。交渉力に乏しい中小零細の建設業者を中心に、資材が手に入りにくい状態となった。
政府は、資材の製造・流通経路に偏りやボトルネックが生じているとし、こうした「目詰まり」の特定と解消を進めた。6月23日にはメーカーから工務店へシンナー・塗料を直接販売する仕組みを構築。8月24日までに51件・1696gの申し込みがあったという。
国交省が開設した窓口への相談や直接販売の要請件数は、6月末〜7月初めにピークを迎えた後、落ち着きを見せた。8月14〜20日には塗料・シンナーやシーリング材をはじめ主要な資材の供給要請が1件もなくなり、流通は安定化しつつあると見られる。
一方で、資材価格は高騰が続く。建設物価調査会がまとめた中東情勢の緊迫化に伴う建設資材価格・需給動向(8月上旬調べ) によると、塗料用シンナーの価格は1gあたり400円で、資材価格の高騰が顕在化した5月と比べても8・1%アップ。今後の動向は「高止まりが続く見込み」とした。経済調査会の石油系資材ウォッチでも、塗料用シンナーの価格は440円で5月比18・9%増となり、先行きは「強含み」とされた。
今後の課題は、高騰した価格の円滑な転嫁だ。国交省は直轄工事を対象に、ナフサ由来の建設資材を調達する際に必要になった追加費用を設計変更で対応。地方自治体にも運用の詳細を参考として通知している。
民間工事についても、改正建設業法により資材高騰時の請負代金額の変更ルールが整備された。ただ、国交省の調査ではこうした規定を認知している建設業者は55・1%で、特に小規模事業者で認知度が低かった。
あるゼネコンの調達担当者は、21年に発生したウッドショックで「末端価格が長期間戻らない事象があった」と指摘する。資材価格の高止まりに備え、中小零細こそ価格交渉力を高める必要がある。
提供:建通新聞社