2026/09/18
処遇、生産性で企業を評価 受注・採用を評価制度で後押し
国土交通省は、処遇改善や生産性向上に取り組む企業を評価し、工事の受注や担い手の採用を後押しする仕組みを検討する。9月17日に有識者によるワーキンググループの初会合を開き、経営事項審査や専門工事業の施工能力の「見える化評価」といった既存制度の拡充に加え、元請け・下請けを問わない新制度も視野に入れた議論を開始した。座長に就いた蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は「しっかりした企業を評価し、競争で不利にならないようにするのは積年の課題だ」と述べた。
ワーキンググループは、建設業を成長産業とする政策を議論する検討会の作業部会となる。月給制に転換する専門工事業など、処遇改善や生産性向上のための投資に積極的に取り組む企業に対する評価制度を整え、新規採用や工事の受注といった場面で後押しする。
国交省の伊勢尚史建設業課長は初会合で「建設業の持続可能性を高める取り組みをレベルアップさせる上で、重要な議論の場となる」と強調した。
ワーキンググループでは、既存の企業評価の仕組みとして、公共工事を受注する元請けを対象とした経営事項審査や、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した専門工事業の施工能力評価に加え、建設業許可について説明した。
改正建設業法に基づく労務費確保の施策の一環で、一定水準以上の賃金支払いを確認できた建設業者に対する「処遇優良事業者証」の交付制度を検討していることも紹介した。
委員のうち、政策投資銀行の鈴木章弘都市開発部長は、元請け・専門工事業を問わず「同じ物差しで多くの建設業を評価し、見える化できる制度があるといい」と発言。外国人雇用に詳しい杉田昌平弁護士は、国際労働市場での評価や外国人材確保を想定した場合、どのような評価の仕組みが最適か論点整理が必要になるとした。
一橋大学大学院の福地宏之准教授は、経営事項審査で、元請けの建設工事のサプライチェーン全体のマネジメント能力を評価する仕組みを取り入れることを提案した。EY新日本有限責任監査法人の中川政人公認会計士は、経審の審査項目のうち、担い手確保など非財務的な要素だけを切り離し、民間発注者などが受注者の評価に生かす仕組みも考えられるとした。
国交省は今後、現行の評価制度の課題や改善点、新たな企業評価に対するニーズを把握するため、関係者にヒアリングする。民間の元請けを対象とした評価制度や、元請け・下請けを問わない横断的な評価制度など、これまでにない仕組みについても意見を求める。
建設業団体・建設企業には現行制度の課題や、協力会社を選定する際の基準について聞く。民間発注者には経審の認知度を調査。民間の元請けを対象とした評価制度への活用ニーズ、評価のポイントも確認する。
採用の場面での企業評価の在り方については、労働市場の専門家や、教育関係者にヒアリングする。学生が就職先を選定する際に重視するポイントや、入職先を選定する際に有効な企業評価の仕組みについて意見を聞く。