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2010/04/23

経審の技術者評価で一定期間の雇用関係を要件化 現場代理人の常駐義務規定を再検証 国交省が経審や標準請負約款の見直しで論点提示

 国土交通省は22日、経営事項審査(経審)の審査基準や建設工事標準請負契約約款の見直しに向けた論点を中央建設業審議会総会に示した。経審の審査基準については、技術者の名義借りを防ぐ観点から評価対象となる技術者を一定期間以上の恒常的雇用関係にあるものに限定することなどを提起。標準請負契約約款をめぐっては、公共工事標準請負契約約款で定める現場代理人の常駐義務が請負者にとって過度な負担となっていないかを再検証することが必要だとした。
 中建審ではこうした論点を軸に計3回の議論を重ね、夏ごろに経審の改正事項や標準請負契約約款を決定する。国交省はこれを受け審査基準の関連告示などの改正作業に着手し、一定の周知・準備期間を経て施行する。
 経審の審査基準は、いわゆるペーパーカンパニーを排除し、企業実態をより公正に評価する観点から見直す。
 技術者評価については、審査基準日時点の雇用という現行の要件を「一定期間以上の恒常的な雇用関係のある者」に限定する考え方を示した。監理技術者制度では3カ月以上の雇用を求めていることから、これに足並みを合わせる可能性が高い。一方、高年齢者雇用安定法の継続雇用制度対象者は技術者評価の対象に含める方向で検討する。
 再生企業の取り扱いをめぐっては、債権カットなどで地域の下請けなどに多大な負担を強いた点に着目し、W点のうち「営業年数」を減じて評価することを提案。建設投資の減少に対応し、完工高(X1点)の評点テーブルを上方修正することも必要とした。
 社会性などの評価(W点)は、追加すべき審査項目を検討していく。具体的には、除雪作業の契約締結や建設機械の保有状況などを例示した。その際、W点のウエートバランスが過度に増大しないよう考慮する方針。一律の点数評価を見直し、各審査項目の配点を各発注者が弾力的に設定することも想定している。
 建設工事標準請負契約約款の見直しは、契約当事者間の対等性を確保し、下請けや労働者へのしわ寄せを防ぐことが狙いだ。契約履行体制を合理化する観点から、公共工事標準請負約款の「現場代理人の常駐規定」について、請負者にとって過度な負担となっていないかを再検証する必要性を指摘。受発注者間の片務性を是正するため、甲乙協議に委ねられている事項について、中立的な第三者を活用することや紛争調整手続きのルールを明確化することも視野に入れている。「甲」「乙」としている注文者・請負者の呼称も改める方向で検討する。
 また、公共工事標準請負契約約款で中間前払金制度を明確に位置付けるとともに、その支払い割合の標準を2割と例示することが必要とした。

提供:建通新聞社