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2012/04/10

首都高 抜本再生の議論に着手 国交省

 国土交通省の「首都高速の再生に関する有識者会議」(三宅久之座長)は10日に初会合を開き、首都高速道路の再生に向けた検討に着手した。前田武志国交相は冒頭、「国際的な戦略都市である東京のど真ん中にある首都高の再生に向けて、夢あるビジョンを示してほしい」と期待感を表明。意見交換では、大半の委員が「老朽化や景観阻害といった首都高が抱える課題への抜本的な対応が不可欠」との認識で一致したものの、「必要な資金を誰が負担するかを含め財源を明確にすべき」といった指摘も出た。
 この会議は、首都高の線形変更や地下化などの可能性を含めた再生手法を長期的な視点から話し合うために設置された。今後、月1回程度のペースで現地視察や議論を重ね、今夏までに首都高再生の必要性や基本理念、基本戦略などを盛り込んだ提言をまとめる方針だ。
 初会合では、事務局側が▽道路そのものの高齢化の進展▽高速走行ができない道路構造▽通りや河川の上空に整備された高架橋による景観の阻害―などを課題として提示。その上で、高速道路の支線部分を撤去し覆蓋された清渓川を復元したソウル(韓国)の事業や、環状道路を地下トンネル化したパリ(フランス)の事業など、諸外国の取り組みを紹介した。
 その後の意見交換では、「首都高の重要性は誰にも異論がないだろう。その再生に向けては大胆で踏み込んだ議論が必要だ。都市開発との一体化も真剣に考えるべき」(筑波大学大学院教授・石田東生委員)、「地下化を含め、いまこそ決断すべき時だ」(政治評論家・細川珠生委員)などと、抜本的な対策に肯定的な意見が目立った。
 他方、作家の立場で参加している猪瀬直樹委員は「財源がないプランは意味がない。例えば、高架橋を撤去した後の空中権を誰がどのように設定するのかを含め、具体的な資金調達の仕組みを構築しておく必要がある」などと指摘。また、猪瀬委員や東京商工会議所常任理事の高野秀夫委員、日本経済団体連合会産業政策本部長の根本勝則委員からは「東京外かく環状道路や中央環状品川線の早期開通を最優先で進め、その後の交通状況などを踏まえ首都高の在り方を具体化していくべき」といった認識が示された
提供:建通新聞社