トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/11/27

専門工事業評価制度 専門工事業者ごとの評価へ

 国土交通省の「担い手確保・育成検討会」(座長・大森文彦東洋大学教授)は26日の会合で、専門工事業評価制度や技能者に対する教育訓練の在り方について意見を交わした。専門工事業評価制度をめぐっては、経営事項審査のように第三者機関が評価するのではなく、専門工事業者ごとに評価項目の内容をまとめ、その真実性や正確性を確認する仕組みとする方向で認識を共有した。12月にも設置するワーキングチームで議論を重ね、2012年度中に制度の大枠を固める。モデル的な試行を通じて、制度の枠組みや手続きを検証しつつ、徐々に適用を拡大する考えだ。
 この検討会は、建設産業戦略会議の提言を踏まえ、建設産業の担い手を確保・育成する手法を探る場として、本年9月に設置された。検討項目として@専門工事業者評価A技能労働者技能の「見える化」B登録基幹技能者のさらなる普及C技能労働者に対する教育訓練D戦略的広報―を位置付けた。
 このうち、専門工事業評価制度は人を大切にし施工力ある専門工事業者を適正に評価することが狙い。社会保険加入など法令順守状況に加え、技能労働者の雇用状況や施工実績などを評価し、まずは公共工事の発注で活用することを想定している。
 今回の会合では、事務局側が検討の視点として▽専門工事業者ごとに評価項目の内容をまとめることが現実的▽元請けが、契約経験のない専門工事業者を含めて、その取り組みを容易に把握でることが必要▽技能労働者の確保・育成や将来にわたる工事の品質確保に役立つ評価項目を設定すべき▽雇用状況の評価では、主任技術者と登録基幹技能者を評価対象とする―ことなどを示した。
 また、技能労働者に対する教育訓練をめぐっては、高校や教員との連携による新規学卒者の入職促進策や、中途採用者の能力向上に向けた公共職業訓練施設との連携方策を検討した。
 意見交換の中では、日本建設業連合会人材確保・育成部会長の山下雅己委員が専門工事業評価制度について、「総合工事業が自ら活用したいと考える仕組みにしなければ、民間工事での普及は難しい」と問題提起した。
 また、建設産業専門団体連合会会長の才賀清二郎委員は、教育訓練をめぐり「出前講座などの教育訓練は、材料や運搬に要する企業の費用負担が大きい。国による何らかの支援が必要だ」と指摘。芝浦工業大学教授の蟹沢宏剛委員も「将来的には、建設業界全体で(担い手確保・育成の)基金をつくることも考えられる」と同調した。全国中小建設業協会副会長の小野徹委員は「中小建設企業には必要な人材がなかなか入ってこない。こうした中にあっては、女性を積極的に活用する視点が求められる」などと訴えた。

提供:建通新聞社