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2013/03/01

改築から長寿命化改修に転換 老朽化対策部会がビジョン

 文部科学省の「老朽化対策検討特別部会」は2月28日、学校施設の長寿命化の方向性を示した「学校施設老朽化対策ビジョン」の内容を大筋で固めた。ビジョンでは、コンクリート強度が確保された学校施設では、耐用年数を100年以上とすることも可能だと指摘し、改築から「長寿命化改修」への転換を図るべきと提言。地方自治体に対し、個々の施設の整備時期を明示する中長期的な整備計画を策定することも重要だとした。
 公立の小中学校施設は、昭和40年代から50年代にかけて集中的に整備されたため、建築後25年以上の施設が全体の7割に当たる1億1000万平方bに上っている。しかし、改修済みの施設はそのうち約1000万平方bにとどまっており、今後、昭和40〜50年代に整備された施設の更新時期を迎えることになる。
 しかし、文科省が行ったアンケート調査によると、現在、予防保全型の施設管理を行っている自治体は1割、劣化診断や中長期計画を策定している自治体も3割に満たない。ビジョンでは、こうした現状を踏まえ、学校施設の更新がピークを迎える前に現在の事後保全型から予防保全型へと施設整備の方向性を見直す必要があると指摘した。
 具体的な施策として、施設の寿命を延ばす長寿命化改修の実施を提言。学校施設の法定耐用年数(47年か67年)を「税務上、減価償却費を算定するためのもの」と否定し、自治体が法定耐用年数の超過を重視して改築の判断をすることに「慎重になる必要がある」とした上で、長寿命化改修の実施により、100年以上の延命化が可能だとしている。
 ビジョンでは、長寿命化改修の実施に向け、施設の耐久性を評価し、一定の期間使用可能であることを確認する必要があると記載。鉄筋の腐食状況やコンクリートの中性化の状況などから構造体の耐久性を評価し、今後40年以上使用可能だと見込まれる施設で長寿命化改修を行っている、先進的な自治体の取り組みを例示している。
 文科省では、ビジョンに盛り込まれた提言を踏まえ、2013年度に公立学校の長寿命化改修に対する補助制度の「長寿命化改良事業」を創設するほか、長寿命化改修の先行モデルを支援する「学校施設老朽化対策先導事業」をスタートさせる見通しだ。

提供:建通新聞社