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2013/03/04

維持修繕の受注へ経営戦略を 地域建設業の在り方で報告書 

 建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)が共同で設置した「地域建設産業の在り方検討委員会」(座長・井出多加子成蹊大学教授)は、地域建設産業に対し、社会資本ストックの維持修繕の受注拡大に向けた経営戦略の立案の重要性などを提言した報告書をまとめた。発注者に対しても、きめ細かな社会資本ストックの維持修繕を担うことができる地域建設産業の育成に取り組むべきだと訴えている。
 委員会は、地域別の建設産業の特徴に配慮して地域建設産業の在り方を探るため、2010年度に設置(研究委託先は建設経済研究所)。12年度は青森県と大分県をモデル地域として、社会資本ストックの維持修繕と建設産業の関係性などの課題を検証し、提言をまとめた。13年度は岩手県と愛媛県をモデル地域とする予定でいる。
【青森県】
 青森県では、県内の建設企業のうち、経常黒字を出している企業が7割程度にとどまる。県建設業協会が行ったアンケートでは、一般管理費を考慮した工事の採算ライン93・4%(10年度)と、ダンピング対策の設定基準である最終設計金額82・1%との乖離(かいり)が大きく、各企業が一般管理費を捻出する余裕がなくなっている現状が浮き彫りになっている。
 除雪についても、車齢10年以上のグレーターの割合が8割を超え、2割の企業がオペレーター不足を訴えている。
 報告書では、こうした現状を踏まえ「地域維持における対応力の強化」の必要性を指摘。社会資本ストックの点検・維持管理の投資の増加が見込まれるため、日常的にきめ細やかな対応が可能な地域建設企業が維持修繕を担えるよう、発注者が将来を見据えた企業育成に取り組むべきとした。 除雪については@行政が機材を購入・貸与する方式の増加A地域住民の意識啓発や参画Bオペレーターの育成を地域建設業の継続経営の実現と並行して地域全体で検討―などを求めた。
【大分県】
 大分県については、建設投資、就業者数、企業数のいずれも減少傾向が続いていることから、建設企業の小規模化を問題視した。報告書では、各企業の収益構造の改善が先決だとしながらも、企業合併や積極的な雇用などによる経営力強化を目指す企業に対し、行政の支援を求めた。
 社会資本ストックの維持修繕については、地理的な優位性がある地域建設産業が日常の監視や点検など「川上部分」に進出するため、技術力の向上や地域インフラの維持管理分野への事業展開を図る経営戦略を立てる重要性を指摘。建設企業の中で、採算性の悪い維持修繕の受注を嫌う傾向があることに対しては「総価契約ではなく、実費精算方式とするとともに、受注者の経費・利益を確保するコストプラスフィー方式を導入する」などの解決策を提示した。

提供:建通新聞社