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2013/04/26

日建連 会員企業に「適正賃金確保」を要請

 日本建設業連合会(日建連)は25日、公共工事設計労務単価の大幅アップなどを受けて、会員企業に技能労働者の適正な賃金の確保を要請することを決めた。要請の柱は▽適切な価格での下請契約の締結▽適正な受注活動の実施▽就労管理システムの構築―の三つ。このうち下請契約をめぐっては、会員企業が技能労働者への賃金の支払い状況を調査し、日建連として取りまとめ公表する方針を打ち出した。受注活動については、民間工事でも適正価格での受注などに努めるよう求めていく。
 今回の要請ではまず、新規入職者の激減や高い離職率、高齢化といった技能労働者を取り巻く現状について「生涯を通じての賃金水準が他産業に比べて低く、一生を託すに足る職業としての魅力に乏しいことが大きい」と指摘。処遇や技術継承の教育、労働時間・環境などの改善に向けた日建連の活動を紹介しつつ、「危機的状況を打開し、建設産業と建設労働者の明るい将来を取り戻す」ためには、元請け・下請け・発注者・行政が「一体となって取り組むことが求められる」との認識を示している。
 その上で、13年度の労務単価の大幅アップや、業界首脳に対する太田昭宏国土交通相の直接要請など行政側の対応を挙げながら、技能労働者の「適切な賃金水準の確保の実現」を目指して行動するよう訴えている。
 要請内容を具体的に見ると、会員企業は13年度の労務単価を基準に、法定福利費の個人負担分を含めた職種別単価を明示して1次下請けと契約。技能労働者への適正な賃金の支払いと、社会保険の加入促進を徹底指導する。
 会員企業による技能労働者への賃金の支払い状況調査は、適正な水準かどうかを各社が把握するために行う。国交省が行政として実態調査を行う構えを見せる中、会員企業が自主的に調査した結果を取りまとめ公表することで、適正賃金確保に向けた業界トップ団体の積極姿勢をアピールする狙いがある。
 受注活動に関しては、公共・民間を問わず後を絶たない「ダンピング受注」が企業体力の低下や労働環境の悪化、建設産業全体の弱体化を招くため、会員企業は「適正価格での受注に徹する必要がある」と強調。昨年6月に公共工事で適正な受注活動の徹底を決議した趣旨を踏まえ、民間工事でも▽適正価格での受注の徹底▽適正工期の確保▽適正な契約条件の確保―に努めるよう求める。
 就労管理システムは就労履歴や技能情報、社会保険加入状況などを一元管理するもの。会員企業が下請けを指導しようにも、直接雇用関係にない技能労働者の実態把握が「非常に困難」なことから、国交省に構築を要望する。日建連もシステムの構築と運用に積極的に協力する考えだ。

【公共工事の迅速・円滑な施工確保も要請】

 また日建連は同日、国の12年度補正予算と13年度予算の執行で懸念される技術者・技能労働者の不足に対応するため、公共事業の「迅速かつ円滑な施工を最優先に、全力で施工体制の確保」を図るよう会員企業に要請することを決めた。とりわけ東日本大震災の復興に伴い労働者が不足する東北地方では「地域の雇用」を最優先に配慮しつつ、さらに不足が生じる場合は「協力会社を含め全国的なネットワークを駆使した労働者の確保に万全を期する」よう求める。

提供:建通新聞社