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2013/06/25

下請下位ほど「労働者性」高く 国交省が一人親方実態調査

 国土交通省は、建設業の重層下請構造における「一人親方」の実態を把握するために行った一人親方本人と建設企業に対するアンケート調査の結果をまとめた。これによると、技能労働者が減少する中で一人親方の割合は増加しており、解雇などの自発的ではない理由で一人親方になる技能労働者が増加。重層下請構造の下位に位置する一人親方ほど、請負契約ではなく雇用契約を結ぶ「労働者性」が強い傾向が見られるという。国交省は今回の調査結果を踏まえ、一人親方の社会保険加入を勧めるリーフレットを作成、働き方に応じた保険加入を促すとしている。
 一人親方は、コスト削減や繁閑の調整弁として活用されているとみられる。国交省が社会保険未加入対策を本格的に進めると、法定福利費の事業主負担分を回避する狙いで、一人親方が増加することも懸念される。
 今回の調査結果によると、建設・土木作業従事者はこの15年間で100万人減少しているが、一人親方は40万人前後と横ばいで推移しており、従事者全体に占める一人親方の割合が結果的に高くなる傾向にある。
 一人親方本人に、一人親方になった理由を尋ねる設問では「収入を増やす目的」「自由に仕事を選べる目的」と、自発的に一人親方になる割合は近年減少し、「雇用主から人を雇えなくなった」「解雇された」と非自発的な動機・契機で一人親方化する割合が増加している。自発的に一人親方になった回答者は1984〜1993年のバブル期に一人親方になったケースが多かった。
 「解雇された」とした回答者の内訳では「勤め先が不況で人を雇えなくなった」が最も多くなっているが「社会保険料が払えない」「一定年齢以上になると独立させる会社の方針」との答えも多くなっている。
 このほか、ゼネコンの現場で働いている回答者の契約方式を下請け次数別に見ると、元請けに近いほど請負契約の割合が高く、下位ほど雇用契約を結ぶ傾向にあることも分かった。国交省では「一人親方といっても、労働市場のグレーゾーンの中で労働者に近い働き方をしている技能労働者が増えているのではないか」とみている。
 国交省は、今回の調査結果を踏まえ、建設企業・一人親方向けに、一人親方の社会保険加入を勧めるリーフレットを作成。リーフレットでは、一人親方に仕事を依頼する建設企業に対し、一人親方の実態が労働者であることが判明すると、社会保険料の追納や労働関係法令に基づく処分を受けることもあると注意を喚起している。

提供:建通新聞社