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2015/08/11

次期「土地改良長期計画」検討開始 農水省

 農林水産省の食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会(部会長、渡邊紹裕・京都大学大学院教授)は、次期「土地改良長期計画(案)」の策定について検討を始めた。ことし3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画に加え、国土強靭(きょうじん)化基本計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略に位置付けられた政策課題を踏まえ、2017〜21年度まで5年間の農業水利施設の戦略的保全管理をはじめとする土地改良事業の目標と、実施する事業量を決定する。
 現行計画(12〜16年度)で取り組んでいる施策には、ほぼ目標に近い進捗(しんちょく)で推移しているものと、進捗の遅れから次期計画への積み残しとなりそうなものが混在している。
 例えば、基幹的農業水利施設は施設の56%(達成率93%)で機能診断を実施している一方で、農業の競争力強化のために欠かせないとされている農地の「大区画化」の実績は、14年度目標の12万fに対して1万9000f(達成率15・8%)にとどまっている。戦略作物などの生産拡大を目的とする区画整理や暗渠排水などの整備による「水田の汎用化」も、14年度目標の9万6000fに対して4万9000f(51%)となっている。
 このため部会では、現行計画の進捗状況と▽農業の競争力強化▽農村地域の強靭(きょうじん)化▽地域社会の維持・活性化―の三つの視点から、主要な政策課題を抽出。それぞれの政策課題ごとに必要となる土地改良事業を選定し、個別目標と事業量を決める。
 部会は、これまでの長期計画の評価や現地調査、地方懇談会を踏まえ、16年3月をめどに中間取りまとめを行う。
 部会が想定している主な政策課題は次の通り。
<農業の競争力強化>
 ▽農地中間管理機構との連携強化による農地の集積・集約化▽農地の大区画化などによる生産コストの削減▽汎用化・畑地かんがいなどによる収益性の高い農業経営の実現▽ICT(情報通信技術)などの活用による新たな農業水利システムの構築を通じた水管理の省力化や水使用の高度化
<農村地域の強靭(きょうじん)化」>
 ▽農業水利施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図る戦略的な保全管理▽ハード・ソフトの組み合わせ、既存施設やコミュニティー機能の活用による総合的かつ効果的な防災・減災対策
<地域社会の維持・活性化>
 ▽中山間地域などの地域特性を踏まえた事業の展開▽基盤整備などを契機とした6次産業化などによる雇用と所得の創出▽小水力発電などの再生エネルギーの導入による農村の活性化▽農地・農業用水などの保全・管理などを支える農村コミュニティーの再生

提供:建通新聞社