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2015/10/08

予定価格に幅を 全建・関東甲信越ブロック会議


 全国建設業協会(全建)傘下の都道府県建設業協会と国土交通省が地域単位で意見を交わす「地域懇談会・ブロック会議」が7日、関東甲信越を皮切りにスタートした。2015年度のテーマは「適正な利潤確保のための『発注関係事務の運用に関する指針』(運用指針)の徹底」と「事業量の安定的かつ継続的な確保」の二つ。同日の関東甲信越地方ブロック会議で各県協会は、予定価格の幅を持った設定や、低入札価格調査をめぐる一般管理費の算入率引き上げ、小規模施工歩掛かりの全工種追加などを要望。自治体に対する運用指針の指導や、大型補正予算の早期編成などの必要性も訴えた。
 予定価格の幅を持った設定は群馬県建設業協会(群馬建協)が要望した。予決令にある設定根拠の「取引の実例価格」自体が取引量や引き渡し条件などの違いで幅を持っており、「需給の状況」なども設計から予定価格の設定、契約、施工に至るタイムラグの中で変化するためだ。
 これらを踏まえ群馬建協は、予定価格に「一定の幅を持たせるのが自然」とし、設定に当たっても「インフレ率を考慮することが想定されているのか」と問題提起。その上で、「物価や労賃が契約時より上昇する環境下では、予定価格に上層幅を持たせないと(会計法が規定する予定価格の)上限拘束性を守ることは難しくなる」と指摘した。
 低入札価格調査をめぐる一般管理費の算入率引き上げは神奈川県建設業協会(神奈川建協)が要望。直接工事費(95%)・共通仮設費(90%)・現場管理費(80%)の算入率が80%以上なのに対し、「一般管理費等」は55%にとどめられているため、それを圧縮するなどした入札で「落札価格が調査基準価格に張り付く」ケースが跡を絶たない、との認識を踏まえたものだ。
 神建協は、いまだ多くの企業が▽新規雇用による人材確保▽社員給与の改善▽設備投資―などに「踏み切れない」と苦境を吐露。また、建築工事で低入札価格調査基準価格を計算すると、予定価格の「90%」を上回る場合が多いため、90%を上限とする現行規定は「ある意味で『歩切り』に通じる問題を含む」と主張した。
 小規模施工歩掛かりの全工種追加は長野県建設業協会(長野建協)の要望。市町村などの小規模工事に、直轄工事が主要対象の施工合理化調査に基づく「土木工事標準歩掛」を適用すると、直接工事費ベースで「積算額と実際に掛かる費用に乖離(かいり)」が生じるためだ。
 15年度に「道路打換え工」と「欠損部補修工」の2工種で小規模施工歩掛かりが追加されたことも踏まえ、長野建協は全工種で追加するか、施工規模別の歩掛かり補正値を導入するよう求めた。
 自治体に対する運用指針の指導に関しては、山梨県建設業協会の要望の中で▽交付金事業でも春先からの現場着手を可能にする▽適切な設計図書の変更と、請負代金や工期の適切な変更を確実に実施する▽国が小規模市町村に支援する―ことなどを列挙した。大型補正予算の早期編成は、新潟県建設業協会が「一部地域を除き公共事業費は減少」しているなどとして、16年度当初予算での公共事業費の確保とともに要望した。
 さらに、茨城県建設業協会は「週休2日制に配慮した余裕のある工期の設定」など、千葉県建設業協会は維持管理工事での「地域の建設業を対象とした指名競争入札の拡大」などを求めた。

提供:建通新聞社