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2016/01/03

杭データ流用 『施工ルール』で再発防止


 国土交通省の「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」は25日、杭工事の施工データ流用の再発防止策についての中間報告をまとめ、石井啓一国交相に提言した。再発防止策では、国交省が杭工事で一般的に順守すべき「施工ルール」を策定し、元請けの監理技術者が杭の支持層への到達状況について最終的な責任を負うことを明確にする。国交省は1月中にまとめる告示案にこの施工ルールを位置付ける。中間報告ではこのほか、関係する建設業団体に施工ルールに沿った自主ルールを策定、国交省に届け出ることも求めた。
 中間報告では、施工データ流用の原因を踏まえ、設計、施工、工事監理の各段階で速やかな再発防止策の実施を求めた。
 設計段階の再発防止策では、既製コンクリート杭が設計図書を踏まえて工場で生産されるため、精度の低い地盤調査が杭長不足などの施工不良に直結するとして、地盤情報が不十分な場合の追加の地盤調査に加え、設計者と施工者が地盤情報を共有する重要性を指摘。国交省が建築設計関係団体にこれらの措置を周知することに加え、建築士定期講習に地盤・基礎に関する内容を取り入れるよう求めた。
 施工段階においては、国交省に杭工事の施工体制、支持層到達の判断基準、施工記録の保存に関する施工ルールの作成を求める。試験杭の施工には、工事監理者と下請けの主任技術者が立ち会い、元請けの監理技術者が最終的な責任を負う。施工記録が取得できない場合を想定し、施工前にデータを補完する手法も決めるよう求める。
 関係する建設業団体には、国交省がつくる施工ルールに沿った自主ルールをつくり、国交省に届け出ることを要請。さらに国交省は、とび・土工工事業の主任技術者の要件に国土交通大臣の登録を受けた杭工事の民間資格の合格者であることも追加する。民間資格の試験内容には国交省がつくる施工ルールを盛り込むことが必要だとした。
 また、国交省には杭工事に関する工事監理ガイドラインをつくることを求め、工事監理の確認項目・方法を明確にする。建築基準法に基づく中間検査は、杭工事をより的確に把握できるよう、運用を改善するべきだとした。

提供:建通新聞社