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2016/01/04

石井国交相新春インタビュー

石井国交相新春インタビュー

■建設業の「将来像」本格議論 「力強い一歩踏み出す1年に」

石井大臣新春インタビュー 石井啓一国土交通相は、建設専門紙などの新春共同インタビューに応じた。昨年末に閣議決定した2016年度当初予算案で、国交省所管の公共事業費は0・04%の微増となり、4年連続で前年度額を上回る見込みとなった。石井国交相は、建設産業に活力を持たせるためには「経営者に将来の見通しを持ってもらうことが最も重要だ」と述べ、公共事業費を安定的に確保する意義を強調。杭工事の施工データ流用問題であらためて浮き彫りになった建設業の構造的な課題に対しては「将来像も見据えた議論を速やかに始める」と述べ「建設業が力強い一歩を踏み出す1年としたい」との意欲を示した。

 ―国交省所管分の公共事業費は4年連続で前年度額を上回る見込みとなった。

 「社会資本整備の計画的な推進と現場の担い手確保に何よりも重要なのは、安定的、持続的な公共事業費の確保。政府の16年度当初予算案における国交省所管分の公共事業費は、前年度を上回る5兆1787億円を確保できた。長年の減少傾向に歯止めを掛け、4年連続で前年度額を上回ることができた」

 「この予算が少しでも早く効果を発揮できるよう、15年度補正予算案と合わせて早期成立を目指したい。成立後は、最新の資材価格を反映して予定価格を設定することに加え、複数年契約などによる発注の平準化に取り組み、円滑な事業の執行を図りたい」

 ―建設産業における担い手の確保・育成にどう道筋を付けるか。

 「インフラ整備、まちづくり、防災・減災、老朽化対策など、地域の守り手として重要な役割を担う建設産業は、ここ数年の建設投資の回復で活気を取り戻しつつある。建設産業が中長期的にも従来の役割を担い続けるためには、各建設企業に将来の見通しを持ってもらうことが最も重要だ」

 「仕事が安定的、持続的に確保されれば、次の仕事に備えて設備投資や雇用に余力を回す意欲も生まれるはず。公共事業費が前年度の水準を維持できたことを各企業の経営者にそうした意欲を持つきっかけにしてほしい」

 ―団塊世代の技能労働者の大量退職が目前に迫っている。

 「建設産業を若者にとって魅力ある職場にするため、また、技能労働者の処遇を改善するため、従来から進めている適正な賃金水準の確保や社会保険未加入対策に引き続き取り組む。官民で協力し、技能労働者の経験を蓄積するシステムの構築も急ぎたい」

 ―杭工事の施工データ流用問題の再発防止にどう取り組むか。

 「昨年末に中間報告をまとめた有識者委員会で、施工データ流用問題は、建設業界の構造的な課題が背景にあるとも指摘された。将来にわたって建築物の安全と品質を確保する上で、元請け責任の在り方、主任技術者の適正配置、元請け・下請けによる適正な施工体制の構築を図ることが必要になる」

 「さらに、民間工事の発注者にまで広げ、建設工事の責任の明確化を図ることが求められている。問題の発覚からこれまでに明らかになった課題に対し、実行可能な再発防止策はただちに実施する。併せて、建設業の将来像を見据えた議論を速やかに始めたいとも考えてる。こうしたことを通じ、建設業が力強い一歩を踏み出す1年となるよう、行政と業界で力を一つにして取り組みたい」

 ―昨年はストック効果の最大化”を社会資本整備の基本理念に位置付けた。

 「人口減少社会においても、生産性を向上させれば経済成長を実現することは可能。『賢く投資する』『賢く使う』といった方向へ社会資本整備の在り方を大きく転換していきたい。過去の投資効果をわずかな投資で最大化する『ストック効果開花プロジェクト』への重点投資や、測量・設計・施工・検査のあらゆるプロセスにICTを導入して生産性を高める『i―Construction』などの施策を積極的に進めたい」

 ―東日本大震災の発生からことしで5年が経つ。

 「東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題の一つ。3月末には『集中復興期間』が終わり、新たなステージである『復興・創生期間』がスタートする。復興を一段と加速させることで、被災した方々が復興を実感できるよう、各市町村が住宅再建や復興まちづくりで抱える課題を把握し、必要な対策を講じていきたい」